この春私は縁あって、米国ジョージア州のオーガスタナショナルゴルフ場へゴルフ観戦に訪れた。
あの有名なマスターズゴルフトーナメントを開催するゴルフ場である。
マスターズトーナメントの1週間前に、女子アマチュアトーナメントがオーガスタナショナルゴルフ場で行われるのだが、それに行く機会を得たのである。
オーガスタナショナルゴルフ場で観戦
マスターズのオープニングイベントとして行われる「Augusta National Women’s Amateur(オーガスタ ナショナル ウィメンズ アマチュア)」と言うトーナメントがある。
オーガスタ ナショナル ウィメンズ アマチュア
https://www.anwagolf.com/index.html
「Masters(マスターズ)」トーナメントとは別イベントだが、観戦者の体験は基本的にマスターズと同じものだ。提供されるサービスも、マスターズで提供されるものと同じサービスなのである。
ゴルフコースは、本戦のマスターズに向けて芝が輝くほどに万全の状態にしてあり、荒らされる前のプリスティン(ピカピカの新品)と呼ばれるコンディションコースでアマチュア女子ゴルファーが先陣を切ってプレイする。
私は生まれて初めて、このようなゴルフイベントに参加したのだが、準備で悩むことも多かったので、他の人にも役立ちそうな「マスターズに行くなら情報」を残すことにした。
マスターズ
https://www.masters.com/index.html
少々驚くにだが、このマスターズを開催するオーガスタナショナルゴルフ場はウェブサイトが存在しない。メンバーになるのも至難の業で、お金を詰んだからと言ってメンバーになれるものでもないらしい。
というわけで、このゴルフコースでプレイするのを夢見ているゴルフ好きのアメリカ人が相当数いるが、殆どかなわぬことのない夢ということになる。
ゴルフ観戦者を”Patron”(パトロン)と呼ぶ
オーガスタ ナショナルゴルフ場で行われる ウィメンズ アマチュアも、マスターズもトーナメント観戦チケットを得て観戦する者たちを「パトロン」と呼ぶ。そして、パトロンには大切な守るべきルールがいくつか課されるのだ。
有名なルールだが、スマホやカメラをゴルフ場に持ち込むことは絶対にNGだし、会場内で悪態をつくのも絶対にNGである。
ついうっかりが許されないルールがあることを忘れてはならない。入場口で自分がスマホやカメラをうっかり持ってきてしまったと気づいたら、入場口横にあるカウンターでそれらを預ける必要がある。
ルールを破ると、チケットの剥奪に加え、今後のチケットの入手も規制されると聞く。
ルール破りの規制は、知り合いが自分のチケットを手配してくれていた場合、またコネでチケットを貰った場合、その知り合いのルート元を含め、今後のチケット入手が規制されるというのである。
「どうせわからないだろう。」なんて思ってスマホを持ち込まないようにしなければならない。アメリカでも、意外にそういう厳しい部分がある。ゴルフ場の職員じゃなくても「正しくない」と他の観戦客が気付けば、よってたかって注意されることになるから気をつけよう。
オーガスタナショナルゴルフ場へのナビ
トーナメントの観戦者、パトロンとしてオーガスタナショナルゴルフ場に行く人は安易にグーグルマップで目的地へ向かうと少々失敗する。
このような大きなトーナメントの日は、ゴルフ場最寄りの高速出口が封鎖されたりしているから注意が必要だ。
トーナメントのチケットの裏にはQRコードがあり、その案内に従ってパトロン用の駐車場へ向かうようにしないと逆に遠回りになる。高速を走っている間もゴルフ場が近づいてくると、何処の出口を使うべきか掲示板に案内情報が出るから見逃さないようにしよう。
ゴルフ場に近づけば、多くのパトロン車が駐車場へと列を成しているので、後はその列に従って進む。
かなり大きな無料駐車場がパトロン用準備されているが、数は有限であるとガイドにも記載されている。少なくとも開催時間に間に合うように到着すれば駐車スペースはあると思う。
近隣には一日定額で駐車できますと記載している道路沿いのお店が沢山ある。パトロン無料駐車場が満車だったら、最終的にはそれらを使えばいいだろう。
間違えても違法駐車や無断駐車は絶対に辞めた方がいい。違法駐車をするとレッカーされたり、タイヤに固定具がつけられてしまう可能性が高い。そうなると、少なくとも数百ドルの罰金を支払うことになる。それなら50ドルの有料駐車場を使う方がよっぽど経済的だ。
車に荷物を置いて行く場合、荷物は必ずトランクに入れよう。アメリカで車の窓から荷物が見える状態だと、「盗難してください」と言っているようなもなのだ。たかがモバイル充電器と思うようなものでも、そんな物の為に窓ガラスを壊されたらたまったものじゃない。
入場チケットは常時携帯するルール
観戦者であるパトロンは入場後も常にチケットを見える位置に常に携帯する必要がある。
シャツのボタンや上着のジッパーにチケットを括りつける人も沢山いるが、チケットを首から下げるための紐やフックのついたネックホルダーを持っていると便利である。
チケットは1日につき2回の入場が許されている。車に忘れ物をしてしまったとか、荷物を車に置きに行きたいと思う人は再入場が1度限り出来ると理解して利用しよう。
何度もマスターズトーナメントに行っている友人からは、朝のうちのマスターズゴルフグッズのお買い物を楽しみ、戦利品を車に積んで再入場するチケットの使い方がいいのだと教えてもらった。
ゴルフ場内は全てキャシュレス
ゴルフ場内にはギフトショップと言われるグッズ販売所と、コンセッションと言われる飲食品の売店があるが、どこもキャッシュレスだから、Visa, MasterCard, Amexなどのクレジットカードやデビットカードは必須である。
ゴルフ場で現金は必要ないが、もしゴルフ場への到着が遅くなってしまい有料の臨時駐車場に車を止めるとなった時には現金を持っていると便利だろう。60-70ドルくらいの現金は持っているに越したことはない。
持ち物ルール 電子機器|バッグ|折畳み椅子
持ち込み禁止アイテムで、絶対NGなのが電子機器である。スマホやデジカメ、パソコン、タブレット、今どき使っている人がいるか疑問だが、ポケベルも禁止らしい。
録画と録音は禁止というルールのほか、テレビ、ラジオ、目覚まし時計など騒音を出すも物も禁止だと言う。
ゴルファーがボールを打つ時、パトロンも動きを静止するだけではなく、会話をも停止し静寂を守る。
そんなタイミングでうっかり目覚まし時計が鳴ってはいけないのだろう。静寂の間はその付近での歩行も一時停止になり、近くに居るスタッフに行動を制御される。朝から夕方まで常にゴルファーがプレーをしているので、ゴルフ場を動き回るときには周りにアンテナを張っておこう。
持ち込みバッグにも規制がある。大きさが 10 inchx10 inch x 12 inch(おおよそ25cm x 25cm x 30cm)より大きなバッグは持ち込みNGである。この規定よりも小さなものであればよいらしい。中には「それちょっとアウトじゃない?」と思う大きさのリュックを背負っている人もいるが、入場チェックでアウトになる可能性があると面倒だから、明らかに規定内のバッグがいいだろう。
肘掛の無い観戦チェアならOK
観戦用の持ち込み折り畳みチェアにも規制がある。芝に当たる足部分にプラスチックのカバーがあり、肘掛のない一人掛けの折り畳み椅子であればOKのようだ。
ゴルフ場内のショップには30ドルでマスターズデザインの椅子を売っている。なかなかかわいいデザインだから記念に買っておみやげにしてもよさそうである。
子供が座るのにも丁度いいサイズの椅子だ。子供のお土産にもなるから、ゴルフ観戦で自分が使い、それを持ち帰って子供にプレゼントするのもいいだろう。
皆、椅子を観戦エリアに置きっぱなしであちこちで歩く。持ち主が不在の間に無断拝借がOKで、持ち主が返ってきたら即お返しすればいいという慣例があるようだ。
こういう訳で、例え自分の椅子が勝手に使われていても、腹を立てる必要はない。持ち主である自分が戻ってきたと伝えれば、その客人は自分の椅子から去ってくれる。他人に使われたくないというなら椅子は持ち歩くしかないだろう。
外部の飲食品は持ち込み禁止
外部からの飲食品の持ち込みは禁止である。しかし、ゴルフ場内での飲食物はかなり良心的な値段になっているから、飲食品は全て現地調達で全く問題ない。
ゴルフ観戦者の服装について
マスターズ開催時期のオーガスタはまだまだ寒い事も多いし、雨が降ることもある。しかし、汗をかくほど暑い日になることもある。
出来るだけ前日に1日の天気予報をチェックして、着る物の最終調整をするのが良い。昼は暑くなっても朝の内は肌寒いことも多いから、服装も計画的に準備する必要がある。
男女ともに言えることだが足元は履きなれたスニーカーがオススメだ。そしてドレスコードがあり、ジーンズはNGである。ゴルフシューズも勿論OKだが、とにかく歩きやすい靴ということを意識するのがよさそうだ。
寒い朝に備え、雨の場合も準備が必要
私が観戦に行った朝も、寒い朝だった。思った以上に寒くてコーヒーを持つ手が寒く、手袋もあればよかったなと思った程だ。
男女ともに結構皆自由なスタイルな上着をきていた。厚手のウィンドブレーカーを着ている者もいれば、薄手のジャケットもいたし、中にはダウンを着ている人もいた。
日本から行く人は、コンパクトにまとまるユニクロの薄手パッカブルダウンは丁度良さそうだ。
天気予報を見て雨に備える必要があるなら、ウォータープルーフのレインジャケットか雨合羽を持っていくと良さそうだ。ギフトショップでレインジャケットを買うと素敵なものらしいが100ドル以上払うことになる。
男性は出来るだけゴルフに行くときの服装が良いだろう。上は襟のあるものポロシャツなどでいい。下はショートパンツでもロングパンツでもいいがジーンズ以外のボトムスであれば問題なさそうだ。
女性はかなり自由である。なかにはレギンスを履いている人もいたがジーンズがNGというくらいだから、レギンスは微妙なとこだろう。Tシャツも微妙な所だが、典型的なプリントTシャツじゃなければ女性はOKのようだ。
ゴルフウェアを着ている女性も多いが、サマードレスを着ている女性も沢山いるし、カジュアルなショートパンツもいれば、ロングパンツも居た。カラフルなものも柄のものでもOKだ。多くの人がマスターズゴルフカラーである緑を取り入れたファッションをしていた。
私は襟のないノースリーブシャツをインナーにして、薄いカーディガンを着て、白と黒のチェックのスリムパンツの上に、朝の寒い時間は厚手の冬の防水ジャケットを着ていて丁度よかった。
とにかく朝の寒さに耐えれる上着を持ち、暑くなったら半袖になれる重ね着スタイルが一番いいように思う。
ギフトショップ Gift Shop
朝からずっと長蛇の列を成しているのがギフトショップである。
混雑しているから後で行こうと思うと、売り切れのアイテムが沢山出るらしいので、早めにギフトショップに行く人が多い。
のんびりしてトーナメントが終了後のセレモニーまで見学してからギフトショップに行くと、ギフトショップの入口は既にクローズされている。
色々沢山買いたいというのであれば、早い時間に長蛇の列でも先に並んで買い物をしたほうが良いだろう。
しかし買いたいものはチェアーと帽子程度だという人であれば、ゴルフコースに点在している小さな売店型のギフトショップを利用するとスムーズに買い物が出来る。そういう人は地図を確認して、小さな売店型のギフトショップの方に行くのがいい。
朝いちで大量に買い物した人は車に荷物を入れるか、先着順になるらしいがギフトショップ付近にある手荷物預けで荷物を預かってもらうことも可能らしい。
そうじゃなければ大きな買い物バッグを持ち歩いてコースを歩くことになる。そういうパトロンもちらちらいたが、やはりちょっと邪魔そうだった。
飲食品の売店 Concession
ゴルフ場の中にはコンセッションと言われる飲食品の売店がいくつかある。
大きな屋根の下に数列伸びているが、どの列に並んでも同じものが買えるので隣の売り場を確認する必要はない。好きなものを棚から取り、進んだ最後で会計をするようになっている。
売っている物は果物、スナック菓子、マフィン、サンドイッチ各種、飲み物各種とアルコールとアイスクリームである。どれもかなり良心的な値段となっている。
この飲み物のカップもなかなか人気のお土産となるらしく誰もが捨てる事なく、自宅に持ち帰っている。ノンアルコールのカップにはMasters のロゴだけでなく、2024 と西暦も印刷されている。
水のボトル、ポップコーンやピーナッツ、ポテトチップスなどのスナックを買って携帯しておくとゴルフを見ている間に小腹が空いても対応できる。
ちなみにこのポップコーンとミックスナッツは良いお土産になりそうなので、まとめて何袋も買ってもよさそうである。
持っていくと良さそうな小物
小さなバッグに持っていくと良さそうな物は、腕時計、ペンとメモ帳、日焼け止めクリームとリップクリーム、クレジットカードが入ったサイフ、ビールやワインを飲むなら年齢証明のための身分証(パスポート)だろう。
日差しを避けるための帽子やサングラスもあると良いが記載した殆どのものはギフトショップでも販売している。
どうせ買うので持って行かないというのもありだろう。ちなみにアップルウォッチなどのデジタル腕時計は持ち込みOKとなっている。
私はいつも頭痛薬を持ち歩いているが、コンセッションといわれる飲食品の売店には頭痛薬の小売りパックも陳列していたので、頭痛程度なら万が一に備えててわざわざ薬局に寄って薬を調達する必要はなさそうだ。
マスターズゴルフ場は魅力的
私は特にゴルフファンではないが、私のようなものでも十分このゴルフトーナメント観戦を楽しめた。このオーガスタナショナルのゴルフ場のトーナメントは特別なのだろう。
ゲートを入って進むとまず素晴らしい芝が目に入るが、それは人工芝なのか?と思うほど美しかった。
トーナメントゴルファーを追いかけ、全コースを回ったが全コースとても美しかった。美しく珍しいハイキングコースに行ったと思ってもいいくらいだ。
私が見学したのはアマチュア女子のトーナメントだったが、それでもさすが世界のトッププレーヤーだ。意外だったが、私でもプレーを見て楽しめたのだ。
打てば数打の内に綺麗にホールに向かってゴルフボールが収まるのだ。
また機会があったら是非オーガスタナショナルのトーナメントには行きたいと思った程である。
なんとなくだが、全体的にディズニーランドに行った時のような経験と似ていた気がする。
私は機会があって、10年程前にゴルフクラブセットとゴルフシューズを格安で入手したのだが、実は未だに一度も使用ことがない。これを機にやっとゴルフを始めてみようかなと思っている。