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現役も活躍中の日本のファックス

日本暮らし

今時の子供はファックス(FAX)という電子機器を知っているのだろうか? 一般家庭にさえ固定電話がなくなりつつある今、当然ファックスを新たに設置する家なんて全くと言っていい程ないだろう。

ビジネスで活躍するファックス

2024年の今日、世界で未だにファックスを使っているのは日本くらいだろう。

コロナ騒動時には、日本行政のコロナ患者管理にファックスで情報伝達し、世間を驚かせた。今どきファックスを使うなんてと驚いた人も多かったと思うが、日本ではまだ日常的にファックスを使い続けているところが相当数あるのだろう。

私が以前働いていたのはアメリカの外資系会社だが、20年程前に日本進出してビジネスを開始する時、取引先の要請で何十台ものファックス準備を求められた。当時ですら米国人マネージメントは、「電子メールがあるのになぜ今更FAX?」と、購入を相当渋ったが、結局必要台数のファックスを買い揃えた。

大きな変化の伴う合理化は苦手

私の目から見ると、日本社会では大きな変化が伴う場合、合理的を優先しない場合が多いように感じる。どうも、今までのやり方を変えるということの方が問題であるようだ。

そのやり方に問題が発生すれば、大きな変化を受け入れる他ないのだが、大きな問題が発生しない限り、ベストなやり方をしていないと分かったとしても、敢えてそれを変えようということをしないように見えるのだ。

海外では、やり方を変更することは日常茶飯事である。だから経済的にでも、手法的にでも、合理的と判断されると、かなりスピーディーに変化を取り入れるように思う。

そのいい例としてファックスがあるのだろう。こうして日本だけが今でもファックスを活用している訳だが、ファックスの情報セキュリティーレベルは高いらしい。もしかすると、日本の行政は取ってつけた様に、世界に対しては、それをファックスの継続利用理由にしているのかもしれない。

家庭で活躍するファックス

両親の家で活躍する固定電話はファックス付きの電話機である。親機にはファックス機能がついたコード付き電話が備わり、加えてコードレスの子機が付いているタイプのものだ。

しかし、付属していた子機を数年前に落として壊してしまって以降、両親は子機ナシで固定電話を使い続けている。そして、昨今の闇バイト等の強盗対策&防犯目的で、枕元に子機を置くべく、電話の新調を考えたたのだ。

私は、当然両親もファックスなんてこの10年は使っていないだろうと高を括って電話機丸ごとの交換を提案したのだが、驚くことに両親は未だにファックスを利用していたのである。聞いてみると、通信販売の購入なんかをファックスでやっていたのだ。

きっと私の両親以外にも未だにファックスを利用している高齢者は多いのではないだろうか?私の両親は団塊の世代なのだが、この団塊の世代の人達がバリバリ働いていた時代にはファックス全盛期だったから、まぁ納得できなくもない。

私自身の電話機を新調するわけではなく、両親の電話機のことなので、今のファックス付き電話機を使い続けたいという思いを尊重し、子機のみを新調できるか方向転換して検討してみることにしたのである。

家庭用ファックスおたっくす

私の母親は物持ちが良い。多くの購入商品に付属していた使用説明書はもちろんのこと、時には商品の箱もずっと取ってある程である。当然15年程前に購入したこの電話機の使用説明書も保管しており、その使用説明書の商品名には「おたっくす」と記載されていた。

その名も懐かしい家庭用ファックス機能付き電話機の「おたっくす」製品である。私の記憶からもすっかり消えていたが、このナイスなネーミングの商品が一時期結構流行っていた。昭和世代には相当親しみがある商品ではないだろうか。 

おたっくすはパナソニックの独自商品であるが、全体的に優秀な製品ではないだろうか。両親の買った商品は子機が1台ついているタイプだったが、6台までの子機を増設ができる仕様である。

両親宅にある機種の増設子機品番はさすがに親機品番同様廃盤商品となっていたが、インターネットで親機の商品品番で可能増設子機を調べてみると、何機種か現在でも入手可能な増設子機を見つけることが出来たのである。

調べてみると、一般に店頭陳列するための綺麗に製品パッケージングされたものではなく、未使用の子機と充電器がセットになったコピーペラ紙一枚の説明書付き簡易包装品として、送料無料5千円程度で販売されていた。こうして両親の希望通り、利用中の親機を継続使用したまま子機だけ追加することができた。

良く出来た日本製品

パナソニックでは今まで沢山の家庭用電話機を製造している。このおたっくすもその内のひとつのシリーズ商品であるが、多くの電話機に子機を増設できる設計になっていて、増設子機は汎用性のあるつくりになっていて多くの機種に増設可能なようである。

このように幅広く汎用性のあるオプション品を何年もの間供給し続ける為には、製品設計時には綿密な製品構想を持っていなければ成り立たないだろう。

電話機に増設子機が複数欲しい時、本体を買い直す必要がない設計というのは消費者目線に寄り添った非常に気の利いたサービスだと思うのだ。今は安かろう悪かろうで、多くの製品は使い捨てになっていて、汎用性のあるオプション部品まで考えて作られる製品は少ないと思うのだ。

だから、私は今回のパナソニック商品のおたっくす増設子機入手を通し、日本の製造会社にはこのような物作りの道を閉ざさず、継続して欲しいと思ったのである。これこそ日本が誇れる物づくりの素晴らしい点だと感じた。

アメリカでは、後のことを考え顧客の気持ちに寄り添った商品に出会うことなど殆ど体験したためしがないのである。

ファックスを知らない世代

現代の子供はファックスの使い方はもとより、それが何だかも分からないというのが実状だろう。10年前時点でも、私の周りに居た入社したての新入社員の子は、既にファックスの基本を知らない世代だったのだ。

私の友人の働く会社に入社した新入社員の子にファックスの送付をお願いした時の話である。その子自身がちょっとボケていたのかもしれないが、待てど暮らせどファックスの送付を終えて席に戻らなかったので、友人は様子を見にいったらしいのだ。

勿論事前に使い方など、他の機械一式すべて仕様説明した後らしいので、その子の記憶から一部の記憶が欠如してしまっていたために、余計ややこしい状況になってしまった。

その新入社員の子は、「ファックスを何度送っても、この送付の用紙が無くならないんです。」と困っていたのだという。その子はファックスの操作は出来ていたから実際、相手先には同じものが何通も届いていただろうと友人は言っていた。

この新入社員の子は、電子メール送信時に送信ボタンをクリックすると、パソコンスクリーンから送信メールが消えるのと同様に、ファックスも送信が終わったら紙が視界から消えるのだと思っていたらしいのだ。

物理的に送信済みのファックス送付紙はファックス送信機のどこかに整理され移動するのだと思っていたのかもしれない。とは思うが、ファックスの紙が消えないことは当たり前だと思っている者からすると、この新入社員の子の発言に相当驚いてしまうのだ。

これがジェネレーションギャップというものだろうか?と友人と笑ったが、この先このようなことが、あらゆる方面ででてくるのだろうかと思うのである。

しかし、ファックスを聞いたことも見たこともない若い世代が社会人になり、ファックスという機会に出会った時に、「すごいテクノロジーがあるな!」と思うケースもあるかもしれないなと思ってしまった。

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