私は与えられた仕事に精を出し働き続け、気がついたら専門職キャリアを築いていた。専門職者としてのキャリア組に入れるなんて思った事もなかったから、そもそも目指すこともなかったのだ。
ただその時のベストを考え働いていたらこの道が開かれていたのである。
仕事に責任を持ち信頼を得る
同じ職場で長く仕事をすることで私のスキルの幅は広がった。私の専門職歴が10年を超えてきたあたりから、立場が偉い偉くないは関係なく、自分の担当する仕事には、自信と責任をもってやってきた。
ここ5年程、私の上司はずっとアメリカ人である。上司の性格にもよるのだろうが、仕事の進捗キャッチアップがかなりスピーディーになっている。
仕事の進め方に疑問があれば、「手が空いたら声かけて」と上司に言っておけば、上司は少しの時間が出来た時、私に声を掛けてくるのだ。そのタイミングで上司に「コレコレこういう理由でやり方を変えたい。いいかだめか?」と確認するのである。
簡単に即OKは出してくれない上司だが、上司は自分が理解した内容の確認を私に求めてくるのだ。そういう点からも信頼できる上司だったし、次なる手となる指示のスピードが早い。
説明が足りないと言われれば別途時間を取り、細かくデータを見せて説明し、改めて上司からフィードバックを貰いOKがでれば、周りにアナウンスをして新しいやり方を早いスピードをもって取り入れる進める。NGならポイントを見極めて再チャレンジするのである。
決定事項には従順に従う
自分が提案した方法が却下された場合、話を聞いてもらったうえで却下されたら決断に従うほかない。
不正がない限り会社員たるもの、上の決断に従う必要がある。自分が望む結論であろうがなかろうが、会社員という立場から言うと上司に従うことは必須なのだ。
上司は却下しつつも都度、その理由を説明してくれていたので私も特に不満を持つことはなかったが、ここで不満を抱えるのは無駄なことなのだ。世の中には説明してくれない上司も居ることを考えると、私は上司も当たりだったのだろう。
私の場合、「スピーディーなやり取り」ができる環境に満足している。落としどころさえ与えてもらえれば不満から早めに遠ざかれるだろう。
私と上司は毎週1on1を設定しておき、お互い特別に話し合うことがなければ直前に会議はキャンセルし、お互い時間の有効化をする。会議時間以外でも疑問があれば声を掛け合って数分の内に問題を解決するという方法をとってきたのだ。
このやり方が出来たのは上司と私に英語の壁がなかったことと、お互いに遠慮すべきタイミングの判断がつきやすい働き方をしていたことと、共に信頼関係があったからだと思う。
「アメリカ人上司が全員良いのか?」と聞かれればきっと違う。私は当たりを引いていたのだろう。
会社員の心得
- 会社勤めで上司がいる限り、どんなに良いと思った提案にも却下は常にある。その時は割り切って「却下を柔軟に受け入れる」必要がある。
- 提案があれば「時間を割いて提案をまとめ説明することに価値がを見出そう」結果が却下でも、殆どの上司はこの取り組みを評価するからである。
- 担当している仕事に対して真摯に取り組み、「改善や効率化を進める努力」に対し、上司は高評価を与えてくれることが多い。
英語で意思疎通ができる強み
私は英語を話せることを最大限に活用して仕事をした。要点を絞り、単刀直入に要件を伝える英語を使える人が日本は圧倒的に少ない。この英語スキルを使えば外資系だと活躍できるケースは大いにあると思うのだ。
上司と周りのスタッフの間にある日本語・英語の壁を埋めるだけではなく、文化の違いによる考え方のギャップを埋める面倒な仕事は、間違いなく評価につながる。
人々の間に立ち、隙間を広げるのではなく、出来る限り隙間を取り除く働きをするのである。こういう経験は英語・日本語に関係なく、役に立つことが多いのだからやっておいて損はない。
自分の役割を見出し責任を持つ
アメリカ人上司と、日本人オペレーションマネージメントチームで会社指標となる新たなKPIの定義を決めることがあった。そのKPIを運用するための形式を作り、レポート化するのが私の仕事だが、進めるうちに様々な矛盾を発見した。矛盾が発生する理由はいくつも考えられる。
上記のケースで良くあるのは、会議の場に完全なバイリンガルの実務担当者の不在で、通訳さんが通訳するのだが、そこで問題が発生してしまうのだ。
テクニカルな内容を通訳さんが掘り下げるのは難しく、必要な事が伝わりきらないまま双方の理解にギャップがあるまま話を進めるから結果、不完全な計算式を想定してしまうのである。
そこで私の出番である。KPI算出する計算式確定の前に、データの有無と、それらのデータをどのように抽出してまとめるのか、全体的に検討し、事前に話し合われた指標となるように計算式を作成して資料を整えるのだ。
必要な情報を欠いた状態で決議された指標の構成に矛盾を確認した場合、アメリカ人上司と、日本人オペレーションチームそれぞれからヒアリングし、手間がかかっても双方に理解の齟齬が生まれないように指標の運用まで「調整役の仕事」をするのである。
ハイレベルで物事を決めただけでは、理想的なものが作られないことは大いにある。データを定義し、意にそぐわないデータの除外ルールなど細かな取り扱いは完全に忘れられている。
そもそもKPI指標を構成するためには、イレギュラーデータを定義づけして取り扱いをハッキリさせなければ計算式は完成しないのだから、どのみちデータ担当者である私が一手に責任を持って全体を調整し、片付けないといけないのである。
最後の締めくくりは、全員へ少々長い報告メールを日英で作成するのである。要点を先にまとめておき、会社の指標がどのように構成されているのかデータソースや、会議で話に出た使用不可なデータの背景まで残しておく為である。
手間でも文書化は意味がある
このようなメールを最後まで読む人ははっきり言って殆どいない。それでも、「あの時の指標はどういうルールで作ったかのか?」という疑問がでた場合、そのメールを読めばすぐに解決するためだ。
面倒であっても仕事が文書化されていることは意外と後々助けられることが多いから、手間を惜しんでやる価値はある。
計算式の構成、データの取得方法、特殊ケースのデータの扱い方を記載する。当初の理解とギャップをまとめ、追加で発生した課題の対応も書いておき、必要であればシステム改修し、新たになデータ収集課題についても併せて書きまとめる。
後日、誰かが振り返った時に必要な情報がすべて詰まった総合的な議事録がこれで出来上がるのだ。
英語と日本語のコミュニケーションから生まれる認識の違いのギャップを埋め、後日全体的な振り返りを可能にした仕事で私は評価してもらえたのである。
一見片付いたように見える仕事も、きちんと文書化して共有しておかないと、「そんなこと記憶していないよ」という人もいるのだ。将来に備え、面倒でもひと手間を加える仕事をして置く意味はある。
何かの思い違いでこの指標を作り直してくれと言われ、なんどもやり直し仕事をするのは骨が折れる。だから初めから時間をかけ、細やかに対応すれば私にもベネフィットがあるのだ。
上司には逐次報告をする
細やかな仕事をするには時間がかかる。だからこそ、上司には逐次自分が何に時間を費やしているかを口頭でもいいので報告しておく必要がある。
報告をしないままひとつの仕事に勝手に時間を掛けて取り組んでも評価されない可能性は大きい。
上司には状況報告し、時間を割いて対応することの必要性も報告しつつ取組む必要がある。対応報告と結果を出すことを両方セットで対応して、初めて良い評価が得られるものだと思うのだ。
ミス報告は早期にする
他のブログでも書いているが、ミス発覚時に「正直であるということ」は意外に難しい。しかし、私はそれを大事にしている。
仕事のミスを報告は当たり前のことのはずなのに、出来るなら上司に報告したくないという人々に私は遭遇した。申し訳なさそうにではあるが「黙っていて欲しい」というのだ。私はその都度、相手が年上であっても「報告の義務」を諭し、ウヤムヤにはせずにきた。
私の仕事は会社指標であるKPIをまとめることだ。間違いを見つけた時に報告せずにそれ修正するのは許されないこなのだ。何かミスをがあり、自分でその誤りを見つけた時、私には上司にすぐに報告する義務があり実行している。
間違えたKPI数値が、他のマネージメントやクライアント報告に使われないようしなくてはならない。もし既にそのKPIが使用されてしまっていたら即座に訂正する必要が出てくるからだ。
自分や私の管理下にあるチームでミスがあると分かったら、早急に間違えた内容と、修正後のインパクト、併せて対策まで上司に報告していた。ミスはあってはいけないのだが、こういう対応で信頼を得る事ができるのだ。
どれほど怒られるかを考える暇があったら、早急に火消しをするのが最善の対策である。
ミス発覚時の対処法
修正と対策をひとまず後回しにしてでも、まずは上司に誤りがあったことを先に報告する。ミスが判明した時点から、誤った情報の流出を防ぐのも自分の責任であり、仕事のうちである。
どうして間違いが発生したのか、誤りにより悪影響が発生したか、どのように修復するかをを併せて総合的に調査する。修復データ作成に必要な時間も併せて報告し、リカバリーに移る。
ミス発覚の初期時点では十分に情報揃っていないことも多いので、その時点では分かることだけ伝え、追って総合的に調査して報告すると伝えてリカバリーに取り掛かればいいのだ。
正しいデータが準備できたら、総合的にどのようなインパクトがあったかと、その問題を発生させない対策を報告して完了する。
追加で上司が持つ疑問点も真摯に受け止め、納得してもらえるまで細やかに最後まで対応すれば、ミスをミスとして終えずに済むのである。
ミスをしない完璧な仕事をするに越したことはない。しかし、ミスを一切せずに仕事をすることは難しい。だから私はせめて「正直であるこということ」に重きを置き、自分の仕事を信頼してもらうように努力している。