職業がタクシー運転手と聞けば、「この人は運転が上手いだろう」と思わないだろうか?
しかし、私はこれまで運転が下手なタクシー運転手さんに遭遇したことが沢山あるのだ。信じられないほど沢山の運転下手なタクシー運転手さんがいるのだからびっくりする。
学ぶ機会が少ないことが問題
本音で話せる家族を車に乗せたり、友人を車に乗せていれば「ちょっと運転荒いよ!」とか、運転が下手だと注意をされるだろう。その機会があるからこそ、誰でも運転の質を上げるチャンスを得ている。
スキルを上げるには自覚が必要だが、客がタクシー運転手に単刀直入に「運転が下手」だと伝えることはないだろうから、きっと意識もないのだろう。
車の運転は家族から学ぶが近道
私の夫は運転が上手である。夫は高校時代から自分でマニュアル車を運転して学校に通っていたらしくオートマ車を運転しても、マニュアル車を運転しても上手なのだ。
それに引き換え、私は車の運転は下手だが、人の車に乗ればその運転の上手下手は判別出来る。
それは夫が、私の運転のココが悪い、ソコが悪いと指摘し続けてくれたことがきっかけになり、人の運転にも注意深くなったのかもしれない。
料理をしない人でも食べた物が美味しいとか不味いが判断出来るように、私も助手席や後部座席に乗る機会が増えて、人の運転の上手い下手が分かるようになったのだろう。
運転下手なタクシー運転手さんが多い
ケチである私は全くと言っていい程、タクシーを使う考えを持っていないが、夫は私とは逆で頻繁にタクシーを使う。
だから夫と行動すると、必然的にタクシーに乗る機会が増えて、タクシー運転手さんの運転スキルに疑問を持つようになった。
本当に、驚くほど運転が下手なタクシーの運転手さんが沢山存在するのだ。
私はなぜ、運転が下手なタクシーの運転手さんが沢山いるのか考えてみた。
恐らく、遠慮深い日本人のお客さんたちは、乗ったタクシーの運転が下手だったとしても、「あなた運転下手ね~」なんてことは言わないからだろう。こうして運転上達の機会損失が続いているのかもしれない。
若しくは、タクシーの運転手という職業が面白くなくて、荒い運転をしているのだろうか。
出来るタクシー運転手さんはずば抜けてる
しかし、素晴らしい運転手さんも間違いなく一定数いる。運転がとても上手なだけではなく、道を良く知っていて、予想より早くスムーズに目的地に連れて行ってくれるのだ。
むしろ、もうちょっと乗っていたいと思えるようなタクシーからは早く降りることになり、早く降りたいと思うタクシーには長い時間乗っていなければならないのだから皮肉である。
このような素晴らしいタクシーの運転手さんに遭遇するほうが稀なのが非常に残念なのである。
問題と感じる運転スキル
運転が下手だと聞くと、「ブレーキのかけ方が悪いのか?」と思う人が多いかもしれない。
確かにブレーキは分かり易い運転技術のひとつだし、ブレーキを踏む度に前のめりにさせられたら、「オイオイ」と思うだろう。しかし、問題はブレーキではなく、アクセルなのだ。
私自身も過去に注意されたのだが、アクセルの踏み込み方が問題なのだ。
アクセルの踏み方で下手な運転になる
実に沢山の運転手さんのアクセル踏み込みが荒いのである。アクセルを強く踏みこむ度に体が小さく前のめりになるのだ。エンジンも「ブォン」と音を立てるのだから明らかにアクセル問題である。
東京都心は信号も多く車が停止する回数が多い分、発進の数も多くなり、アクセルの踏み込みがよくよく気になるのだ。
信号の少ない直線道路でもアクセルの踏み込み方で運転の上手下手を感じる。
アクセルを強く強く踏み込まないように、一定の力でコントロールして前進する運転できることが運転スキルの分かれ道なのではないかと思うのだ。
運転手さんに教育を試みる夫
夫はアクセルの踏込みが荒い運転手さんに出会うと、彼なりに色々と対策を試みるので興味深い。
彼は片言の日本語で「アクセルを踏むのを優しくしてください」と頼むのだ。
それで通じない時には手でアクセルを踏むジェスチャーを加えて「ブオン、ブオンは良くないです。ゆっくり優しくお願いします~。」と手をアクセルを踏む足と見立ててお願いしたりする。
最近ではバリエーションが増え、「ちょっと気持ちが悪くなってきたので、運転を優しくお願いします」と頼み、改善を求めるパターンなんかもある。
彼が何年もタクシーの運転手さんに優しい運転をリクエストしているのを聞き続けていることを考えても、相当運転に難アリのタクシーの運転手さんが多いのだなとつくづく感じる。
田舎にも運転下手なタクシー運転手さん有
私は今年の夏まで就いていた仕事で、よく地方へ出張に行っていた。出張先へは最寄りの駅からタクシーで30分程掛かるので、長距離乗車で運転下手なタクシー運転手さんに当たると本当にがっかりした。
私は夫のように「アクセルの踏み込みを優しくして欲しい」と言えずに、早く目的地についてくれと思うばかりであった。
この度重なる出張を通して、都会に限らず田舎でも、むやみやたらにアクセルを踏んで運転しているタクシーの運転手さんが如何に多いかを知って驚いた。
運転スキルが高ければ車種は関係ない
一度しか遭遇しなかったのだが、出張で乗り合わせたタクシーにとても上手な運転手さんがいた。
タクシーは相当古ボケた感じのマニュアル車でスピードが全然出ないタクシーだったのだが、車体の見た目に反して運転スキルが素晴らしく、乗り心地がものすごく快適だったのだ。
その運転手さんは「古い車でごめんね~、スピードも〇〇キロ以上出ないんだよね。」と言っていたが、運転スキルが素晴らしく、車体の古さを全く感じない快適な乗り心地だったのだ。
それ以降出張に行くたびに、あの運転手さんの車に乗りたいな~と思っていた程だ。
アメリカの運転手はスキルが高い
余談だが、私はアメリカにいる時はUberXといういわゆる白タクを使うことが結構ある。
日本では同じウーバーエックスの提供はないが、海外旅行中は便利
https://www.uber.com/jp/ja/ride/ride-options
アメリカのUberにもプロのドライバーのもがあるが、より手軽なUberXという、個人が白タクとしてタクシー業を行う、タクシーより手軽な配車サービスなのだ。
アメリカで乗った全てのUberXのドライバーを考えても、プロのタクシー運転手を考えても運転が荒いと思った経験は一度もない。
アクセルをむやみやたらに踏んでいるような運転手は、恐らく乗車客に注意されるのだろう。欧米とはそういう土地なのである。
WinWinだからと口出しをする文化
アメリカは、「こりゃ違うだろう?」と思ったら自分だけでなく、相手や、他の人の事も考えて、「それは良くないよ!」と注意をする国なのである。文句ではなく、良くするための助言なのである。
加えてチップの文化ということもある。運転が下手だったら良いチップも貰えないだろう。
お金を稼ぐためにも運転手さんの運転の上達は必須で、運転が上手でなければいけないのだ。
それに直接伝えなくとも、Uberだったら運転手の評価システムがある。それで低評価だと仕事が取りにくくなるので、どの道上手な運転スキルが必要となるシステムなのだ。
日本タクシーの課題
日本でタクシーを利用すれば規定通りの運賃を払うだけである。
運転が上手でも下手でも料金は同じだし、給料も大差ないのかもしれない。これではスキルの高い運転をしたいと思うことはないのかもしれない。
もし日本にもチップという制度があったら、運転下手なタクシー運転手さんは殆ど存在しないかもしれないと思うと、チップがもらえるかもしれないというきっかけが必要なのだろうか。
日本にチップ制度が導入されるとは思えないから、タクシー運転手さんの運転技術向上のきっかけは見当たらないままである。
あとはタクシー運転手さんにプロとしてのプライドで運転スキルの向上を期待するしかないのかもしれない。
日本タクシーの車体は綺麗だし、根本的な乗り心地も良いのだから、タクシーの運転手の皆さんにはプロとしての意識向上を期待している。