当ブログはアフィリエイト広告を利用しています

両親宅の老い支度

日本暮らし

この夏、私は両親宅で断捨離をやってみた。

母親は以前より家を片付けたいという願望を持っていたのだが、父親は物を手放せないタイプの人だったので10年以上も前から捨てたほうがよい家具がいくつも家にある状態で暮らしていた。

ところが、それら不要な物を片付ける機会がいきなりやってきて、私と母親とで1か月程かけてやっと両親宅にあった不用品の処分をすることが出来たのだ。

きっかけは父の入院だった。

当初は1週間の入院予定だったのが予想外に2か月近く入院生活となってしまった父は、退院後は車いす生活となって家に戻ってくることになったのだ。こりゃ家を片付けないと暮らしにくいとなり家の中をすっきりさせることになった。

家を車いす生活仕様にしなければいけないという大義名分があったのだが、父自身がかなり弱気になっていて家の片付けを家具の破棄を含め完全に任せると許可が出たのだ。

丁度私はこの夏は時間があり、両親の家に長期滞在しながら断捨離を決行することになった。

両親の家自体は実はそれほど古くない。両親は私が家を出た後に、彼らの終の棲家として新しい土地に家を建てているのだ。しかし我が両親は結構色々なものをこの新居に持ち込んでいた。

家を建てる前に両親がそれぞれが働いていた職場の事務所の閉鎖があり、彼らは事務所にあった備品を持って帰って言われていいと言われたらしく、結構な量の文房具や備品を貰って来ていたのである。

そしてそういう文房具や会社の備品が入った段ボールがこの断捨離を進めていくと、クローゼットや押し入れからぞくぞくと現れたのだ。

私は全ての段ボールや引き出しを見回り、両親宅にある文房具を集めてみた。結局その文房具を整理するのに丸3日以上かかったのだが、定規だけでも30本以上出てきた。隠居生活している老夫婦には絶対必要ない量の定規だろう。

折角だからと貰った段ボールに入れた大量の文房具は、終の棲家である家に引っ越して来ても一度も開封することなく10年以上放置されていたのだから明らかに不要品なのである。

といいつつ、よく切れるハサミや新品のボールペンなど使い勝手の良さそうなものは吟味して、今後使う物だけ残して不要なものは全て廃棄することにした。

押し入れからは昔の冠婚葬祭で貰った引き出物集や粗品のタオルも大量に出てきた。長年段ボールに入っていたビニール袋に入った白い粗品のタオルには無数の黄色いシミがついていた。ビニール袋にはいった未使用の白いタオルも長期間放置すると変色するものらしい。

しかしこういうタオルは実は役に立つので廃棄せずにしまっておくといい。

こういうシミが付いてしまっているタオル類でも父の介護で大活躍したのである。

こういうタオルは捨てる位なら使いやすい大きさに切って使い捨てのオシリフキとしての需要があるのだ。一時期大人用のオシリフキが大量に必要な時があったのだが、母がこのタオルの切れ端で大分助かったと言っていたのだ。

家の主の年代によって断捨離で廃棄するものと取っておくものは変わるのだと学んだ。

断捨離では、ありとあらゆるものを片付けたがとても面倒だったものは書類と写真だ。

断捨離屋さんに依頼する場合はこういう紙類はどのように処理しているのだろう。紙類は基本、段ボールに詰めておいていくのだろうか?それとも廃棄同意書を貰い一括破棄してしまうのだろうか?

そんな雑談しながら母親と一緒に紙類も、もくもくと振り分けた。

そもそも最近では色々な明細書がペーパーレスになっていてクレジットカードの明細書も郵送ではなくなっているが、両親宅には何年も蓄積された各種明細書に加え、医療機関の明細書、家電製品の説明書など相当な量の紙がでてきた。

明細書は2年分だけとっておき、同類を纏める方式にして、半年ごとに古い6か月分の明細書を捨てるように管理しようと母親と新ルールも決めた。

今後は不要なものを溜め込まないようにと、母と考えながら物の置き場を決め、継続できる整理整頓を考えて進めてみたが、ここまでやらないとまた同じように不要な物が溜まってしまう。

今回の両親宅の断捨離で気づいたことは、既に母親だけでは断捨離するのは難しかったということだ。重い荷物を一人で動かせないという物理的な問題ではなく、精神的にも面倒な事を一人ではやり切れないと思ってしまうらしい。

母親は、私がどんどん片付けを推し進めるので最後までやり切れたが、そうでなければ途中で諦めていただろうと言っていた。年を取ると体力が落ちるだけではなく、精神的にも面倒なことをやれなくなるらしいのだ。

私が率先して整理整頓を進めたので、母親は新しく整頓された環境に慣れず、何がどこにあるか一時的に混乱し、何かを取るときには都度、私に探し物が何処にあるか聞いていた。

同じような物は同じ場所に片付けたのだが、物の場所が変化するのは慣れないらしく、母の苦労を身近にサポートする時間を十分に取ってよかったと思う。

キャビネットの引き出しには付箋を貼り、何が入っているかメモ書きをして分かり易くすることにしたが母がメモを見るのは短期間だが、今後誰かお手伝いしてくれる人が家に来た時にもこのメモはきっと役に立つだろう。

この大規模断捨離で私が少々感動したことは両親の地域にあるごみ処理場である。粗大ごみを含め、ありとあらゆるゴミを複雑な手続きなしに家から10分くらいのゴミ処理場へ車で直に持ち込めるのだ。

東京都内に住んでいると、粗大ゴミ廃棄する場合は、居住地区の行政ウェブサイトから粗大ゴミの申込みをして、コンビニでゴミ処理処理券を買い、ゴミ回収の予約日にゴミ処理券を貼付けた粗大ゴミの回収を待つこととなる。

ゴミ処理場に持ち込みしても、ひとつひとつの粗大ゴミそれぞれに細かく分類された粗大ゴミの種類に応じた分のゴミ処理券が必要なのだ。

ところが両親の住む家のゴミ処理場でのゴミ処理はそれぞれの粗大ゴミにゴミ処理券を買う必要はなく、私と母親は粗大ゴミを含め断捨離で出てきたゴミ一式を車に積んで両親の家とゴミ処理場を何往復もした。

両親の地域にあるごみ処理場は地域住民の為にあるものなので、施設に入るときに住所の証明書を提示する必要があるのだが、運転免許証で簡単に住所の確認が終われば車に乗ったままの状態で車ごと軽量される。

軽量記録を確認できる通行証を貰ってゴミ処理場へと車で侵入し、持ち込んだゴミ一式をゴミ処理場の職員の指示に従い荷下ろしをするのだ。

持ち込んだゴミ全てを指定された場所に置き終わったら、車で退場通路へ進み、通行証を施設の出口の職員に渡す。再度、荷下ろしした車の軽量をし、車から降ろしたゴミの量10kg越え毎に100円を払う仕組みになっている。

私と母親が持ち込んだ初回ゴミセットは、キッチンキャビネット、テレビ台、お布団、大量の過去の明細書などの燃えるゴミで、総計60kg以上70Kg以下だったらしく、ゴミ処理料の600円を支払った。

テレビ台についていたガラスは職員の人がその場でバラシてくれるし、補助もしてくれるのであっという間に分別も終わる。それはそっち、それはあっちと素早く指示をしてくれるのでゴミは5分程であっという間に車からなくなる。

最終的に私達は500キロ程のゴミをそのゴミ施設に運んだのだが、ゴミ処理に掛かった費用は5000円程度である。東京の粗大ごみ処理の金額とは比較にならないほど安上がりに済ませることができた。

殆どの田舎には両親の住む地域にあるのと同じようなゴミ処理場があるらしい。もし両親宅の断捨離を決行しようという人は、こういうゴミ処理場施設がその地域にあるかどうかを調べておくと役に立つだろう。

最近インターネットの記事で読んだのだが、「実家を片付けるために20万と書かれた業者を雇ってみたら、請求額が20万どころではなく200万請求された」というものだった。

田舎は親の知り合いをたどれば軽トラを気軽に貸してくれる人もいる。高額請求を払うくらいなら、有給1週間取って自分と家族か、友人に頼んで自分たちで片付けたほうがよっぽど経済的ではないだろうか?

近所の若者に頼んで日給2万払って手伝ってもらったとしても経済的である。田舎なら日雇いで2万払ったらきっと具合のいい若者一人くらい見つけられるのではないだろうか。

知り合いがいなくても近所のおばちゃん、おじちゃんにいい若者がいないか相談してみればいい。最悪ジモティーで募ってみるというのも手かもしれない。

年を取った両親の家の断捨離は思った以上に親の衰えを認識させるものである。

私の感覚だと私の母親は、まだまだ元気で家を断捨離するのは何の問題もないだろうと思っていたがそうではなかった。

やはり家じゅうを片付けるのは面倒で腰が重くなることと、物が移動してしまったことによる不慣れに対するちょっとした躊躇みたいなものがあるのだと母親は言っていた。

もし、この断捨離のチャンスが5年後だったら断捨離の実行は厳しかったかもしれない。実家の断捨離を手伝おうと思ならば親が60代のうちに済ませることを強く勧める!

親が仕事を引退をしたら、さっそく断捨離をやるのが一番なのではないだろうか?

年を取った夫婦が協力して家の断捨離プロジェクトが出来たら、その夫婦の年金暮らし生活はお互いを助け合える良い暮らしになる可能性も高い。

私と母親とで頑張って断捨離と整理整頓をやったおかげで、両親の家はどの部屋もすっきりした。

断捨離と並行して掃除もしたことがきっかけで、母親は手を付けなかった部分の汚れが気になるようになり、随分あちこち家の掃除をしたらしい。

お陰で今年は両親宅での年末の大掃除は必要なさそうである。

母親には寒い時期の大掃除は大変なので、この際年末の大掃除も断捨離しようと提案してみた。

日頃より物を片付け、少しずつお掃除しておけばきっと年末の大掃除も今後は不要になるだろうから。

タイトルとURLをコピーしました