カウチサーフィンというソーシャルネットワークサービスを聞いたことはあるだろうか?
世の中には色々とユニークなサービスが溢れているが、カウチサーフィンも間違いなくそのうちのひとつだ。それは簡単に言うと、このサービスはユーザー間で好意による宿の提供をすることだからだ。
ホスピタリティSNSカウチサーフィン
カウチサーフィンウェブサイト
couchsurfing.com
カウチサーフィンはユーザー同士で無料の宿を提供し合う、国際ホスピタリティー・コミュニティー・ネットワークである。
国内旅行でも、海外旅行でも、自宅を離れ旅する人が、他のユーザーの家に無料で宿泊させてもらうという善意と信頼による制度で成り立っているオンラインネットワークサービスなのである。
ユーザー同士で宿を提供し合うと言っても二人のユーザーがお互いの家に泊まり合うのではない。それぞれが、誰かに泊めて貰い、他の誰かを泊めてあげるという相互関係なのだ。
現在は完全無料ではない
カウチサーフィンは以前は完全に無料のSNSだったが、2020年5月からは有料になっているそうだ。金額はスマホのアプリでサブスク課金があるという情報を確認している。
- 月額 約3ドル
- 年間 約15ドル
1か月に3ドルと言うと大体毎月500円近くのお金が掛かるわけだが、興味を持って実際に使ってみようと思う人は、初めて使う場合、年間契約で15ドル払った方が元が取れそうな気がする。
下手にだらだらと5か月間使い続けると、そこで計1500円払うことになってしまうからだ。
1か月使ってみて気に入ったら、2カ月目には年間契約するのが一番経済的な契約のような気もする。
有料であることの利点
有料になったことで、少しだけ良い点はある。まず有料であっても金額が少額なこと。
それと、毎月の支払が発生することによって、全くと言っていいほどお金を持っていない信頼が難しいユーザーが宿や、アクティビティのお伺いをしてくることは無いだろうと思うからだ。
カウチーサフィン設立の背景
日本ではあまり聞かないが、海外では遠くに住む友人が近くに来る時に、その友人を家に泊めたりと言うことが普通にある。
泊める方もかなりカジュアルに勧めるが、泊めて貰う方もカジュアルに「泊めて欲しい」とお願いすることが良くあるのだ。
カウチサーフィンが設立した背景には、そういう文化背景があったらしい記事を読んだ記憶がある。
知らない人しかいない土地に行くと、公共の宿泊施設にお金を払って泊まらなくてはいけないが、学生だと持ち金が少ない。
それで、自分も自分の家のカウチを宿泊所として提供するから、同じように自分が遠方に出掛けたら善意でソファーに無料で泊めてくれる人を見つけ出すという仕組みを作ったらしい。
同時に、無料で宿を提供したり、逆に宿を提供して貰いながら、新しく知り合う人と交流を持つ体験が出来るユニークなサービスなのである。
見知らぬ人と関わる不安
オフ会のようなイベントですら、見知らぬ人と関わる不安はあるだろうが、家に泊めて貰ったり、泊めたりという不安が尽きなそうなカウチサーフィンだが、ホストになるにも、ゲストになるにも身元確認機能は一応ある。
ゲストになる人も、ホストになる人も、カウチサーフィンのサイトに、プロフィールや身分証などの情報を登録している。
個人の情報を登録してメンバーになった後は、ホストとしてか、ゲストとして、メンバー同士の評価を増やして信用を得ることになる。
過去の実績がないゲストを泊めるのは少々怖いし、過去の実績がないホストの家に泊まるのもちょっと怖い気もする。
だからゲストとしても、ホストとしても努力してレビューという実績を作らないとこのサービスを使うのは難しい気がするのだ。それを考えると、1か月でこのカウチサーフィンを見極めるのはなかなか難しい気もする。
カウチサーフィンの目玉タダ宿
何だかんだ言ってもやっぱりカウチサーフィンの目玉はタダ宿だろう。
新たな友人を得るとか、国際交流が出来る楽しさもあるだろうが、一番は何と言っても無料で宿泊できるネットワークを得ることに魅力があるのだと思う。
お金が無い若者が世界中を旅する時に、タダ宿を利用できるのは本当に助かるだろう。
その若者は、自分の家にいる時にはホストとして、旅人にタダ宿を提供し、自分も旅に出た時にはゲストになって他のホストに泊めて貰って助け合うのである。
信頼できるレビューを得る手順
現実的に考えると、良いレビューを持つゲストをホストとして迎えて、一つでもホストとしての良いレビューを得てから、ゲストとして宿泊先を探すのが賢明だと思う。
そうすれば、とりあえず自分が危険人物ではないという事を少しは証明できるはずだ。
しかし、カウチサーフィンには宿泊させる、宿泊させてもらうという以外にも、旅行している人とお茶を一緒に飲むなんていうホスト枠もある。
興味があるが、泊めるのはちょっと怖いというなら、初めは旅行者の人とお一緒にお茶を飲むところから始めてもいいかもしれない。こうやってお茶や観光をホストして、レビューを集めるのもオススメだ。
カウチサーフィンは旅行者と、現地に住む人との交流も目的のひとつとしている。
カウチサーフィンでホストする
我が家では、未だゲストになったことはないのだが、10年位前に何度かホストになったことはある。
当時は私達夫妻ももっと時間の余裕があったので、「家にあるソファーと、エアマットレスで良ければ泊まっていいよ」という条件で、何組かのゲストを我が家に泊めていたのだ。
これも夫と結婚していなければ、私は絶対に経験することはなかっただろう。
夫は見知らぬ人を家に泊めるという事にもオープンな人なのだ。彼と一緒にいる以上、基本は私もオープンにならざるを得ないし、「まぁ面白いかな?」と思って受け入れたのだ。
自己判断をしてゲストを迎える
私が見知らぬゲストを家に泊めた理由のひとつは、夫も誰でも家に泊めるわけではないからである。
相手の身元が確認できて、メッセージのやり取りで相手に興味を持てて、私たちがその時ゲストを泊めれる状況であるという条件で受け入れていたのだ。
気を遣わずに迎える心構え
私たちは頻繁に友人を家に泊めていたので、人を家に泊めること自体抵抗が少なかったのだ。
我が家は狭いが、アメリカから友人が来た時も家に泊まってもらったし、友人と街に繰り出して遅くなった時も家に泊まってもらっていた。
夫は、飲み屋で意気投合した新しい友人を家に連れてきて泊めていて、私が朝起きると見知らぬゲストがソファーに寝ていたなんてこともあって、私にも耐性がついていたのだ。
面白いゲストにも出会う
カウチサーフィンで泊めたゲストの中で私の記憶に深く残っているのは起業家のカップルである。
そのカップルの男性は若くして財産を築いた大金持ちだったのだ。有名なホテルに何泊でも泊まれるお金があるのに、カウチサーフィンでの人との出会いを楽しんで、カウチサーフィンをしながら世界中を旅していたのだ。
その彼をインターネットで検索をすると、彼のテレビインタビュー番組も出てきたし、彼の経験談はとても面白く、その話を聞けただけでも彼らを泊めた価値はあったと思う。
起業家のユニークなビジネス運用方法を聞いて驚き、関心し、あきれてしまった。普通では到底思いつかない方法でビジネスをして、映画にできそうな話を聞き、私たちにとっても思い出深いカウチサーフィンとなった。
一時的な関係者止まり
私たちはカウチサーフィンで泊めたゲストの人たちと、連絡を取り合うことはしていない。今ではもう彼らの名前すら憶えていない。
カウチサーフィンで泊めてあげたゲストと深い友情が生まれることもあるだろうが、大体はたまたま旅先で知り合った人程度の関係止まりになる。
人気ホストになる可能性
私たちは部屋の広さよりも、利便性を重視し、都心中心部で暮らしていた。私たちの住まいはかなり狭かったが、3人掛けソファーとエアマットレスがあったので、しばらくの間ホストとしてゲストを迎えていたのだ。
このアクティブホストだった期間、家が都心部だったからか、かなり狭い家だと伝えても、本当に沢山泊めてくれとリクエストがきたのだ。
余りにもリクエストがくるのでアクティブホストを止めたほどだ。これが山ほどいる海外旅行者のいる現代だったらと思うと恐ろしいくらいだ。
ゲストになる前にホスト経験
一人でゲストを迎えたり、ゲストとして見知らぬ国で一人で泊めてもらうのはちょっと怖いし気も引けるかもしれない。
だが、カップルや家族住まい、もしくは男性同士でシェアハウスをしているような人はホストを経験してレビューを集めておくのもいいかもしれない。
女性の一人暮らしの場合は、旅人を泊めるのは大変不安である。それでも誰かを泊めてあげたいと思ったら、レビューの沢山ある一人旅をする女性ゲストを選んで泊めるのもいいかもしれない。
ホストの心構え
泊めるゲストと必ずしも楽しいおしゃべりができるわけではない。
ゲストは到着早々、疲れているからとシャワーを浴びたらすぐ睡眠をとり、早朝には出発するなんて人もいるかもしれない。
ウェブサイトには国際交流を楽しもうと書いてあるものの、国際交流を求めていないゲストも存在する。その場合、ホストは基本的に善意で寝床を提供するだけなのだ。
ゲストもホストには礼儀正しく接するように努めるはずだが、それ以上に何か期待するならば、ゲストから宿泊申請が来た時点で国際交流できるのが条件だと伝えた方がいい。
ゲストへのメッセージで、宿泊ゲストへの期待をはっきりと伝えておくといい。例えば「ゲストとは夕飯を一緒に食べて交流することにしている」と伝えれば、相手もそれに応えるし、そういうホストを求めているゲストも沢山いる。
ゲストとしての心構え
逆に自分がゲストになったら、泊めてくれるホストには過剰期待をしないほうがいい。
泊まる家は少々汚いかもしれない。泊めてくれるだけでそっけないかもしれない。それでも泊めてもらったら大げさな程に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える必要がある。
お礼を兼ねて食事やお茶に誘ってもいいし、逆に誘われたら可能な範囲で共に過ごす時間作ると良いが、事前にメッセージのやり取りで予定を併せておいてもいいだろう。
ゲストと交流したいと思うホストも沢山いることは間違いないが、色んな人がいる。
ホストの家に行く時には、6本パックのビールとか、ワインを1本持って行って「一緒にどう?」と夜のひと時を一緒に過ごすのもお互いに良い時間になるだろう。
将来の旅に備える
もし将来バックパッカーとして旅をしたいと考えている人がいたら、このカウチサーフィンでホストとなって、良いレビューを貯めておけばいつか役に立つかもしれない。
バックパッカーじゃなくても、見知らぬ国に放浪の旅に出るとか、夢の土地に旅に出て、現地の人と交流したいと思っている人にもカウチサーフィンは価値がある。
お金を掛けずに、旅先の現地の人の家に善意で泊めてもらえるチャンスなのだ。AirBnBよりもこの交流を目的としたカウチサーフィンで泊めてもらう方が現地の人と交流できる可能性は高いのだ。
カウチサーフィンのホストは泊めてほしいと連絡してくるゲストのレビューを読む。その時の為にも自分もホストとして信頼を稼いでおけば、ホストも安心して自分を迎えてくれるだろう。
外国でゲストとして泊まる時には、日本のお土産をプレゼントするのもいいだろう。軽くて邪魔にならない日本茶粉末や梅昆布茶もオススメだ。いくつかバッグにいれておいて損はない。
キャンセル時にも備えるべし
カウチサーフィンでタダで泊めてもらう場合、急に不都合が出来て宿泊キャンセルになることもあるかもしれない。
そんな時は、Expedia.comやBooking.comなんかを使って当日泊まれる安い宿泊先を現地調達すればいい。
予定通りにいかないことも旅の醍醐味と割り切って旅をすれば、不要なストレスをためずに楽しい旅ができるはずだ。