先日、日本に住むアメリカ人の友人の結婚式に行ってきた。彼らの結婚式は日本で行ったが、どちらかと言えばアメリカ式の結婚式だった。
結婚式自体は都内にあるキリスト教の教会を数時間借りして、その数時間後に教会から離れた場所にあるレストランでレセプションといわれる宴会をして、楽しいひとときを過ごした。(レセプションとは日本でいう披露宴である。)
この結婚式で教会の長椅子の隣に座った日本人の女の子に、「お祝いとか一体どうすれば良いのだろう」と相談されたのだが、確かにアメリカの結婚式はかなり日本の結婚式と違うなと気づいた。
アメリカの結婚式にご祝儀や参加費はない
日本で暮らしている場合、結婚式に招待されるとご祝儀について心配することになる。友人が結婚するのは大変喜ばしいが、何万もご祝儀がかかるなと考えてしまうのだ。
しかし、アメリカの結婚式は日本のとは全く違う。友人、親戚、兄弟姉妹の結婚式に参列する時にお金を持参することはない。
結婚式のゲストは、結婚する二人のこれからの生活を支えるための贈り物をして結婚を祝うという文化がある。結婚式前にプレゼントを贈っておく場合が殆どだが、中には後から送る人もいる。
プレゼントを手配するのを忘れてたという人も数人いたりするくらいだが、それも許される。
どうやって結婚のお祝いを送るか
友人・家族がどのように結婚のお祝いを贈るかだが、通常、結婚式の招待状に案内が書いてある。結婚するカップルが、ショッピングウェブサイトで自分達の欲しい物をリストアップしたプレゼントリストを案内しているのである。
アマゾンや他のウェブストアに欲しいものを個数まで登録済みで、「何か贈り物をくれるならこのリストにあるものを送ってください」という仕組みになっている。
こうして親戚を含め、友人達もそのショッピングサイトを通して、カップルの欲しい物を購入して贈り物をするのである。
各ショッピングサイトには、購入数量管理まで仕組みが出来ていて、購入済みになったアイテムはその後、他の人が購入しないように管理されているし、商品の配送先もカップルの元へ届くようになっているのだ。
だから結婚式当日にプレゼントを持参して結婚式場にくる人は殆どいないのである。
いくらのギフトを選ぶべきか
いくらのギフトを送るべきか悩むかもしれない。大体50ドル~150ドルくらいのものを選んであげればいいと思うが、立場によって変わるだろう。
大親友への贈り物ならば、300ドルでも使うかもしれないが、無理をする必要はなく、自分の気持ちを反映して送ればいいし、お金が手元にない時なら無理して高いものを送る必要もない。
同僚や遠い親戚なら50ドル以内の物でも良いともう。友人なら50ドル~100ドル位のものを探し、とても仲の良い友人や、親せきであれば100ドル~150ドル位のものを選ぶという記事を読んだことがあるが、明確な基準はないから気持ちを反映でいいのだ。
それに、適した額の商品を見つけられない時には低額の小物をアレコレ選んでもいい。そのカップルが必要だと思ったリストの中から選んだ物であればそれでいいのである。
困った時のアマゾンギフトカード
日本でもアメリカでもウェディングギフトに困ったら、今はアマゾンギフトカードというものがある。
我が家の場合は最近はリストからではなく、メッセージカードにアマゾンのギフトカードを入れて花婿花嫁に手渡すことの方が多くなった。とにかく「祝いたい!」という気持ちが一番大切なのだ。
お祝いの言葉を添えたメッセージカードに、自分が納得できる金額で5000円でも、10000万円でもアマギフカードを添えて、贈ってみたらいいのではないだろうか。
私が初めてアメリカ式の結婚式に参加したのは20年前以上も前になるが、その頃からギフトリクエスト型の結婚式のお祝いの品用ウェブショッピングオーダー仕組みは存在していた。
私は「現金のご祝儀袋式じゃなくて、日本もこのようにならないのだろうか?」と思ったが、20年経っても変わらないということは、この先も日本は変わらないのだなと諦めた。
日本在住欧米人の結婚式にはご祝儀袋は必要かもしれない
ひとつ注意しておかなければいけないことがある。それは日本で結婚式をするという欧米人のケースである。
日本在住のアメリカ人の友人に、もし日本での結婚式に招待されたら、日本式の現金ご祝儀袋でのお祝いを期待されていると思った方がいい。
なぜなら配偶者となる日本人や、周りの日本人の人から日本での結婚式はご祝儀を受け取るという仕組みだと教えられて、その通りにする人が多いからである。
もしくは会費制のウェディングパーティーをするのが普通だと教えられているケースも多いからだ。
どうするのがいいか迷ったら、欧米人の友達になら単刀直入に「日本式のご祝儀袋を持参して参加する結婚式かな?」と聞いて全く問題ないだろう。大体ドストレートに回答してくれる。
日本式で結婚式をやると決めていれば、ゲストから貰うご祝儀で結婚式をするのだと教えてくれるのではないだろうか。
アメリカで結婚式に参列する場合の服装
アメリカで結婚式に参列する場合の服装は、日本ほどかしこまっている必要はない。
一般的には男性であればスーツが妥当だが、色は好きなものでいい。欧米だと黒のネクタイもお洒落で選ぶ人もいるくらいだ。
女性は夏でも冬でもノースリーブワンピースとサンダルの着用でも全く問題ない。袖ありワンピースでもハイヒールでもローヒールでも結構なんでもいい。
ある程度きれいな恰好であれば髪の毛をおろしていようが、ミニスカートだろうが、素足であろうが、肩がでていようが、日本の様に服装のマナー違反なんて言う人はいないのだ。
しかし、胸がドーンと開いたボディコンミニワンピなどは避けておいたほうが無難だろうとは思う。
結婚式の招待状に服装についての記載だが、フォーマルと書いてあっても日本のフォーマルや晩餐会のようなロングドレスを着る必要はない。
フォーマルとかいてあってもカジュアルなワンピースドレスを着ている人は多いのだ。日本の結婚式に行くときのように、美容院でへアレンジまでして参加するとすごく気合の入った人に見えてしまうので、ほどほどでちょうどいい。
リゾートウェディングの場合だと、もっとカジュアルな服装で良い場合もある。ハワイなどのリゾート結婚式だと、男性の場合、襟付きのアロハシャツや、ポロシャツに短パンで良い時もあるくらいだ。
それでも、いくらカジュアルといっても、女性も男性もデニム、Tシャツは基本NGということをを心得ておこう。
服装に悩んでしまったら一緒に行く友人か、招待してくれた結婚するカップルに「日本と違うからどんな服装がいいのか悩んでしまったのでアドバイスしてくれ。」と話せば、きっと快く教えてくれるはずである。
アメリカのスタンダードな結婚式
日本でも色々な結婚式のやり方がある様に、全てのアメリカ人の結婚式が同じ形式ということにはならないが、ここではよくあるパターンのアメリカ式結婚式についての話をしよう。
アメリカの結婚式でのゲストへの期待することは、正解共通だ。とにかく「一緒にお祝いしてください。」ということである。
結婚式の参加可否を返答する
まず結婚式の招待状を受け取ったら、招待状にいついつまでに参加可否を知らせて欲しいというお願いが書いてあるはずなので、その期日までにきちんと参加可否を返信してあげよう。
もし外せない用事があって参加できない場合でも不参加を連絡した後に、メッセージカードやプレゼントを贈って結婚式を祝ってあげれば気持ちは伝わる。
ウェディングパーティーといわれる主催者側
花婿はグルームズメンという1人~5人くらいの付添い人を立て、同じように花嫁はブライズメイドという1人~5人くらいの付添人を立てる。花婿花嫁は親しい友人や兄弟姉妹にお願いして、その役を任命するのだ。
グルームズメンとブライズメイドは、花婿花嫁の両親とともに結婚式主催者側となって結婚式の準備なども手伝う。グルームズメンは結婚式当日、女性ゲストエスコートをすることもあるが、結婚式のお手伝いの一つなのである。
グルームズメンは新郎と共にタキシードを着用することが多く、ブライズメイドはお揃いの素敵なロングドレスを着用することが多い。
結婚式の写真には、この結婚した二人とグルームズメンとブライズメイドの集合写真を良くみるので、ゲストとして参加するのに相当な正装をしないといけないと思うかもしれないが、多くのゲストはもうすこし砕けたキレイ目な恰好が多い。
結婚式に参列する
欧米での結婚式に参加する場合、結婚式を行う教会や会場には開始予定時間の30分前くらいには会場に到着しているのがマナーである。
到着したら他のゲストと同じように行動するか、結婚式を運営している人達の指示に従えばいい。
自由着席の場合もあるが、女性のゲストは結婚式会場の入り口から着席する椅子までグルームズメンと呼ばれる花婿付添い人がエスコートをしてくれる場合もある。
夫や彼氏と一緒に行った場合でも、グルームズメンが女性をエスコートし、同伴男性は後ろを付いて進み、席に到着したら二人一緒に着席する。
カップルで行ったのに、同伴女性がグルームズメンにエスコートを促されてもビックリする必要はない。男性の方も同伴女性がスムーズにグルームズメンにエスコートしてもらうのを優しく促せばいいのである。
結婚式会場の着席場所
グルームズメンがエスコートしてくれれば、何処に座ればいいかすぐにわかるが、そうでない場合も誰かが入口で案内してくれるはずなので指示に従えばいい。
通常、結婚式場の一番前の席は新郎新婦や親族、グルームズメンとブライズメイドの席なので、3列目以降がゲストの席となる。
真ん中の通路を隔てて右は花婿側の親族とゲスト、左は花嫁側の親族とゲストが座るように分かれているので、入り口で「新郎新婦どちらの友人ですか?」と聞かれるのだ。
新郎新婦両方の友人であればどちらに座っても問題ない。こういう場合はゲストが少ない方に案内されるだろう。
エスコートなしで着席する場合は、なるべく前のゲストの人に続いて順に前から詰める形で着席するようにしよう。
席へ向かう時は、必ず会場端側の通路を通って着席する。間違えても真ん中のバージンロードを歩かないようにしよう。真ん中を進もうとすれば、きっと誰かに止められるとは思うが、この点だけは注意が必要だ。
式の内容はそのカップルの信仰によって変わる
信仰をもっているクリスチャンの結婚式の所要時間は1時間弱に及ぶので、お手洗いが近い人は式場で着席する前に忘れずにトイレを済ませておこう。
ゲストが会場に入る時に結婚式のプログラムが渡され、式はそのプログラム通りに進められる。
クリスチャンの信仰があるカップルの結婚式の場合は、牧師さんのメッセージが20-30分程ある。良い結婚生活を送るための励ましと教訓を話してくれるのでぜひ耳を傾けてみるといい。
文化的にキリスト教なだけで信仰はそれほどという結婚式の場合だと、全体的な結婚式の所要時間は30分程度だろう。
レセプションという宴会は結婚式の後にある
結婚式の宴会はレセプションと呼ばれ、結婚式のあとに続けて同じ敷地でやる場合もあれば、団体で一緒に結婚式場から宴会場まで移動することもあるし、全く別の場所で数時間後に各自再度集合するスタイルの場合もある。
レセプションについても事前に案内され結婚式当日にいきなり知らされるわけではないから、事前の案内を確認しても状況を上手く理解できないときは、招待してくれた花婿花嫁に事前に確認しておくといい。
レセプションが始まるまでに時間が空いている場合は、レセプション会場で待機用ドリンクなどを準備していくれている場合もあるので、早めに披露宴会場に着くのがいいか、開始時間に合わせて到着するのがいいかも併せて確認するといいかもしれない。
レセプションは自由着席スタイルもあれば、席が決まっている場合もある。これは会場に行ってから詳細を知ることが多い。自由着席の場合は、空いている席に自由に座るのだ。
既に誰かが座っているテーブルでも、空いている席をみつけたら、「ここいいですか?」という質問をきっかけに既に座っているゲストと会話をするのがマナーだが、運が悪いとその席は既に他の人が来る予定の場合もある。
そんな時も結婚式の席で嫌がらせをするような人は基本いないから、気持ちを切り替えて違う席に着席してレセプションを楽しもう!
レセプションの構成もカップルによって違うが、乾杯があり、スピーチがあり、食事があり、ケーキカットがあって、歓談があるのはどこも一緒である。
加えてダンスの時間がある場合もある。ダンスがあったら恥ずかしがらずに参加してみよう。アメリカの結婚式の醍醐味でもあるのだ。
アメリカの結婚式は誰がお金を払っているのか
アメリカの結婚式では、ゲストに結婚式の費用を出してもらうという考えはそもそもない。それでは誰が結婚式の費用を出すのか。
アメリカには花嫁の親がお金を出すという文化があるのだ。
しかし、花嫁の親が経済的な問題があれば、結婚式を挙げるカップルが自分達で費用を出すこともあるし、花婿の両親が費用を出してくれるケースもあるが、ゲストが費用を出すことはまず聞いたことかない。
リハーサルディナーという前夜祭
花嫁の親が結婚式の費用を出している場合は、花婿の親はリハーサルディナーの費用を出すのだ。
結婚式の前日に行われる結婚式リハーサル後にブライダルパーティーと呼ばれる人達の集まりで、花嫁花婿とその両親、兄弟姉妹等親しい親族、グルームズメンとブライズメイドが集まるメンバーでハーサルディナーという食事会をする。
リハーサルディナーも着席スタイルのフォーマルな食事会で、それなりにお金がかかるのである。
現在でも私たちの多くのアメリカの友人は、この形式の通りに結婚式をしている。
古い形式にとらわれない結婚式もある
現代はこの古くからある形式で結婚しないカップルも沢山いる。
予算がない人は宴会をするのに、市民会館を借りたり、教会のカフェテリアを借りることもあるし、知り合いの家を借りて行うケースもある。
そしてケータリングの調整から飾り付けまで友人・家族で準備をする場合もあるのだ。
結婚式も宴会も予算を考えて臨機応変にやりくりしている人も多い。それでも結婚式に参加してくれるゲストからお金を徴収することはないのである。
アメリカの結婚式を体験しよう
アメリカの結婚式に招待されることがあったら、喜んで参加してお祝いをしてあげよう。レセプションといわれる宴会には、堅苦しさなんて全くないことの方が多いのだ。
多くの人と共に、食べて飲んで笑って踊る楽しい幸せ溢れる時間が待っていることだろう。