私は現在、大きな会社の統合基幹システムのデータをまとめる仕事をしている。しかし、私の初期のキャリアは一般事務といいつつも、ただの雑用係だったのだ。
そんな雑用係でも時間をかけて努力を続ければ、専門職を得てキャリアを築けるのである。
諦めず希望をもって努力する
データアナリストという響きの良い職務を得て、外資系企業でバリバリ働いているが、私が20歳の時に初めて正社員で働いた職務は雑務一般だったのだから、人生なんて何が起こるかわからない。
世の中には親ガチャだとか、大学のランクで将来が決まってしまうのだという意見もあるが、高卒の私が外資系企業で役付きデータアナリストになれたのだ、諦めずに努力はするべきである。
私は、希望の無い世間の意見になんか負けずに、誰にでもチャンスはあるのだと信じる価値はある。
回り道をして経験を得る
私が20歳の頃に初めて正社員で働き始めた頃、私はPCの起動方法すらよく分からなかったのだ。そんな私がただコツコツ仕事をやっていたらデータアナリストに成れたのだから誰にでも希望はある。
時間はかかるがコツコツやっていれば、いつか道が開ける可能性は十分にある。
働きだしたら5年でも10年でも一生懸命学び続け、人から知識やスキルを習うことを継続し成長して、先へ続く道を見つけよう。とにかく諦めなければその先にはきっと何か見つかるのではないだろうか。
消費者金融会社の雑務担当
私が初めて正社員として働いたのは、小さな消費者金融会社で、私の職務は庶務全般だった。庶務全般と言えば聞こえはいいが、実際の所は雑務担当である。
この会社の採用面接を受けた理由は、正社員の募集だったからということと、高卒OKで家からも近く、他と比べてそこそこ給料が高かったのだ。
私には特別何も売り込むスキルがあったわけではないが、事務職経験あったのが功を奏したのか、簡単な面接採用試験を通過し正社員として採用してもらった。「正社員」枠で就職したものの、改めて当時の状況を考えると雇用期間が無期なだけで、厚生年金制度の準備もない会社だったのだ。
1年目は電話対応とダイレクトメールの宛名書き、お茶汲み、男性社員のデスクにある灰皿の交換と社内の清掃に加え、社長のお使いが私の仕事だった。本当にありとあらゆる雑用をする要員だ。
雑務要員でもひとつの会社で正社員として働いて、一般常識を学ぶ機会を得たのである。
正社員生活2年目の転機
雑務を繰り返し、単調な仕事をする毎日だったが腐らずにやっていたら、2年目になり転機がやってきた。当時、会社では経理担当の一人だけがPCを使っていたが、その人がもう一台誰も利用していないPCを差し、暇を持て余す私に「このPCで、勝手に学んで頂戴」と声を掛けてくれたのだ。
単調な仕事の繰り返しでも真面目にやっていればチャンスを与えてもらえる可能性がある。だから、やはり与えられた仕事をしっかりやりとげ、信頼を得るということは大事である。
この当時、一般家庭でのPC普及率はまだ低かった。殆どの会社でひとり1台のPCが当たり前ではなかった時代である。社会には今では絶滅してしまった文書作成する為のワープロという機械がまだ沢山出回り、販売・実用されてた時代である。
仕事としてPC操作を学ぶ
雑務の間にPCを触れるようになってから、私は毎日暇さえあればPCを起動して会社にあった指南書「できるシリーズ」 の できるWindows、できるExcel、できるWordを全冊1ページ目から読んで、実践してみた。
こうして私は会社でPCに触れ、勤務時間にお金を貰いながらPC操作の基礎を習得したのだ。
それまで毎日やっていた雑務もなるべく疎かにしないようにしながらやりくりして、勤務中にPC学習時間を増やし、とにかくPC操作の学習をしたのである。
PCの基礎を学んだあとは、会社の人と相談して紙ベースで記録していた顧客情報をPCに入力するという仕事を作り出した。
結構な量のデータを入力することになったので、私の入力スピードも向上した。紙データをデジタルデータに変換する仕事を進めるられたのだから、会社にとっても私にとってもウィンウィンだったように思う。
会社の利益になる形で、自分の成長の機会を得ることができたが、私は自分がやりたい仕事を得たのである。無理やりではないが、データ入力は自分から提案し、仕事として認めてもらったのだ。
やりたいことがあれば、こういう形で学びの機会を得て成長の機会を作るのが理想的だろう。
PC操作の基礎を身に着ける
私はPCの基本操作を、できるシリーズの指南書から学んだ。パソコンの基礎ならばパソコンスクールに通う必要はないと思うのだ。この手の手引き本を初めから読み、書いてある通りに操作をして、パソコン操作を習得すればよいのである。
この本は初心者用に作成されているから、画像が沢山使われている分、分かり易い。パソコン教室に通った場合、授業のスピードが自分に合わなければ理解できないまま終わってしまう。しかし、本ならば自分のスピードで学び、分からない箇所は何度も繰り返すことができる。
本を初めから最後まで学習するのは骨が折れるが、内容を忘れてしまったとしても、「あの本にはこういうことが書いてあった気がする」と、記憶の片隅に関係する情報が蓄積されているはずだ。後日操作に困った時は、本を開けば問題解決することが出来るだろう。
役立つ豆知識
「できるウィンドウズ」には、ベストな文字入力方法とか、ちょっとした豆知識が色々記載されている。私はこの本から学んだのだが、キーボードのアルファベット文字「F」と「J」のキーの上には触れるとわかる小さなポッチがついている。
ブラインドタッチをするためにも、常に両手の人差し指がこのキーボードのポッチに乗っている状態を覚えるようにと本には書いてあり、私はその通りに学んだ。
この入力のための人差し指の「ホームポジション」を習得したおかげで、私のブラインドタッチは安定している。今も常に私の両手がキーボードの上に置かれているときには、人差し指はそのホームポジションを探し、そこで待機するのが習慣になっている。
私は未だに新しいPCや、キーボートを購入する時に、この初めて正社員で働いた会社名を入力してキーが打ちやすいかテストをするのだ。社名が長い分、キーボードの入力感覚が良いか悪いかを判断するのにいい入力テスト文字になっている。
こうして私は未だに初めて正社員で働いた会社と物凄く小さな繋がりを保持しているのである。
基本のビジネスソフトウェア
一般事務で利用するようなソフトウェアは、指南書の本を読みながら進めれば大体習得できると思う。
ウィンドウズ(Windowns)、エクセル(Excel)の他には、ワード(Word)と、パワーポイント(Power Point)も学習しておいたほうがいい。この4つのソフトウェアを攻略出来ていれば、一般事務系のパソコンスキルは十分満たせるだろう。
ビジネスソフトウェアを指南書の本での学習を終えたら、初めは定期的に自分で書類を作成する練習をして、実用的に使えるようにしてPC操作スキルを自分の物にしなければ意味がない。
自宅に届く郵便物でもいいから真似て、同じ書類を作成作成する練習をしていれば、きっと早いうちに書類を作成するスキルだけではなく、書類を理解しやすくするにはどうするべきかということにも気が利くようになるはずだ。
空き時間を学習に当てる
実務を通して新しい仕事のスキルを習得するのは理想的ではあるが仕事の面接に行って、「内職する時間は沢山ありますか?」とはさすがに聞けない。だから、仕事をしながらスキルを身につけれるかどうかは運も必要だとは思う。
しかし、働くのに給料が少し低いとか、理想の会社ではないと思っても、「忙しくない時期がある」というような会社で仕事をしてみる価値はあるかもしれない。残業が全くないという会社は恐らくだが暇な時間がある気がする。
空き時間さえあれば、仕事にすっかり慣れた後で、自分が担当している仕事に関わることを進んで学習したり、より効率的な仕事プロセスを考えたりする分には支障はないだろう。
もし自分の仕事に余裕があるならば、「誰かこの仕事をやって欲しい」と言う声を聞いた時には、進んでそれを受け新しい事を学ぶ機会を得れば、それもゆくゆくは自分の力になる。会社側もそういった社員を大事にしてくれるのだから、やらない理由はない。
空いた時間を使い何かを学んだり、新しい運用方法の考案などさせてくれる職場で働く機会を得れば、お金を貰いながら色々とチャレンジできるし、きっと将来のキャリアに続く道となるはずだ。
この小さな消費者金融会社での雑務仕事があったおかげで、私の人生の大事な武器となった「ウィンドウズPCとの出会い」があり、「データアナリスト」への道に繋がった。
どこで働くにしても何かしら得るものがあると思う。先が見えない時でも、努力を続けていればきっと道は開けるだろう。