結婚してからというもの毎年一度はアメリカに滞在してきた。この数年は半年近くアメリカで過ごしてきた。それでも私は改めて、本腰を入れてアメリカ生活を送るようになり、見えていなかったアメリカ文化が見えてきた。
消費大国アメリカの個人消費の力
アメリカ暮らしを続けてみて、私は多くのアメリカ人の生活を肌で感じるようになった。アメリカ人の友人も増え、彼らの生活と彼らの友人家族の話を見聞きし、金持ちでなくてもお金の使い方が荒いというか、皆コンスタントにお金を使うのである。
どうも多くの人の考えは、ネットフリックスのような毎月の10数ドルの会員料を節約したところで、そんなのは焼け石に水みたいなものだと、そういう幾つもの会員料は問題視をしないようである。スポーツジムの会員料に関しては健康維持の為のコストということになるのだろう。
そういう会員料の類を全て解約すれば、年間で1000ドル位は節約できるだろうが、それでも年間1000ドル節約するなら、仕事で年間余計に1000ドル以上稼げばいいだけと思っているのだろうと感じるのだ。
外出時のコーヒー系の飲料や、スムージーなどに掛けるお金もチリツモで、年間で見れば相当なものになるだろうが、それもきっと「その程度節約したって何になる?」としか思っていない気がする。
もちろんチップも当たり前に払う。今の標準チップは基本20%位だろう。そして20%位払う人も沢山いるのだ。今ではコーヒー屋や、ファーストフード店ですら、タッチパネルでチップを払うか選択ボタンが出るのだ。そして多くの人は少ない額だがチップを払っているようである。
そのうち、スーパーのレジでもチップ選択画面が出て来るのではないだろうかと思ってしまう。確かにサービスをしてくれる人にチップを払うのはいいことだとも思うが、生活が苦しいはずの時に弾んだチップを払うのはどこか釈然としないなと思うのである。
それにお出掛けした時のアレもコレも買う購買力は凄い。結構値段のするカクテルや、お酒を飲み、おなかがすけばその施設の食事をオーダーし、とりあえず心底楽しむ楽しむのである。お出掛けから帰ってきてから、お金を結構使っちゃたなと思うらしい。
だから旅行に行った後は、使い過ぎたお金について反省し、お出掛けが控えめになるのかもしれない。
アメリカの節約と日本の節約
私はアメリカと日本の節約という概念に相当な違いを感じる。私は古い昭和の人間だから思考が取り残されているのかもしれないが、日本で節約生活というと、1円でも安くを求め、スーパーを梯子して特売品を買いちまちまと節約することだと思っていた。
ポイントを集め、レジ袋持参し家計を助けるというものが殆どアメリカに存在しないように見える。
アメリカで生活をしてみて、節約の概念がどうも違うように感じるのだ。アメリカではお金もでなくても、紀伊国屋スーパーでの買い物をやめてイオンで買い物をするようにするというような見直しが節約なようである。
アメリカでは、たとえ職を失っても外食を完全に止めるような事はないのだなと見える。旅行は控えるかもしれないが、人付き合いを継続するのためにもクレジットカードに頼り生活を続けるのは、いたって普通のことに見える。
まぁアメリカ社会で新しく仕事を得るには、人付き合いは重要な要素であるし、友人と共に過ごす時間は個人的な精神の支えになる。そういう意味でもお金が無くても人付き合いは必要なものなのだろう。
クレジットカードの支払い
そもそもアメリカのクレジットカードのシステムは日本のものと大きく違うようだ。
私の日本のクレジットカードの支払いは基本全て1回払いにしている。そうすればクレジットカード利用額の利息を取られることはないし、物品購入品にちょっとした保険も付く。それにクレジットカードを利用すれば利用額に応じたポイントも貰えるからクレジットカード愛用者である。
日本でクレジットカードを利用すれば、支払い方法は回数払いでもリボでも基本的に事前に設定した引き落とし口座から毎月自動的に引き落とされる。残高不足の場合だと、引き落としができず、後日自分でその予定額を振り込む必要は発生するが基本勝手に引き落とされるだけだ。
しかしアメリカではどうも仕組みがちがうみたいなのだ。毎月の支払日には自分で可能な額の支払いをするというのが基本な支払いなようだ。そこにはミニマムペイメントという、「最低でもこの額は支払う」という金額が存在するが、それだけ払っていては元金が全く減らないのである。
仕事を失い、貯蓄も失うと、クレジットカードの支払いはミニマムペイメントを続け、クレジットカードの利用上限額までクレジットカードに頼る生活を続けることが可能なのである。
しかし、私からするとそれは非常に危険な行為としか見えないのである。このクレジットカード利用による借金は、家や車を買う時の借金とは違う。何の売却可能な資産も残らない、ただの生活費として消えてしまい、本当に借金しか残らないのだから。
経済バロメーターガソリン販売量
我が家では経済系のYouTubeチャンネルを見ることが多い。その中で最近みた番組の中にガソリンの消費量を語るものがあった。
アメリカは本当に車社会である。ニューヨークのマンハッタンに住んでるならまだしも、他の土地に暮らす働く人は都市部でも殆どの人が自分専用車を持っている。そしてアメリカには軽自動車のようなものはないから、家族全員それぞれ大き目な車を乗っている場合も多い。
経済が停滞してきたときにおこる現象として、ガソリンの販売量が減るという説を聞いた。それはとても現実的に考えられる内容だった。お金が潤っている時にはアチコチに行くからガソリンの購買量が必然的に増える。
しかしお金がない場合、ドライブ旅行にも行かない。出掛けるのを控える。本当に生活費に苦しくなると、ガソリン代を節約するために通勤、通学、食料品の買い出し以外は車を使わないという行動になるからガソリンの消費量が減るのだというのだ。
だからガソリンの消費量の動きをチェックすればアメリカの経済状況がわかるということになるという説明は私にッとってストンと腹に落ち納得したのである。
よくある賃貸の支払い遅延
夫は私が出会った時から、アメリカで大家をやっている。そして今も大家を続けているのだが、賃借人の家賃滞納は珍しいことではないのだ。
私にとって家賃を払わないとは相当な事件であると思うのだが、どうも様子を見ていると家賃が払えなくなる人というのが、日本よりもずっとずっと多くいるように感じるのだ。というのも私たちの賃借人で家賃の支払いが遅れるというのが全く珍しいことではないからである。
アメリカは家を賃貸に出すのに不動産屋さんを通さない場合も多く、初めから終わりまで大家が借主と直接やり取りをする。だから家賃の支払いが遅れれば大家は借主に連絡して家賃を払いを求めるのだが、それをうっかり忘れるとあっという間に家賃2か月滞納という状況になってしまうのだ。
そして、大家は借主と共に、早く家賃が正常に払われるように借主と共に返済計画を練ることになったりするのである。しかし、こんなのはまだマシで、夜逃げをする人もいたし、裁判所のお世話になって強制退去するケースもあったのだ。
しかしその人達も家賃が払えなくても、外食をしたりするわけである。まぁ当然のことなのかもしれないが。「一杯のかけそば」みたいな生活をするわけではなく、クレジットカードに頼って暮らすのである。
経済を支える個人消費の闇
消費大国アメリカ経済は、このような借金してまでの個人消費によるものなのだと、つくづく思うのだ。多くの人がクレジットカードの上限まではと、首の皮を繋げ生活をしているのが現状だったりするのだろう。
アメリカでははっきりとした経済格差が存在している。金持ちはとんでもなく金持ちだが、ギリギリのお金で暮らす人の方がよっぽど多いのだ。
この先アメリカの経済がどのように移行していくかは非常に興味がある。取りあえずは、ガソリンの販売量と、個人のクレジットカード負債のトレンドを追いつつ、アメリカ経済を追ってアメリカという国をもう少し知ってみようと思う。