実は、私はアメリカで結婚式に参列したことよりも、お葬式に参列したことの方が多い。
すでに身内のお葬式が5件に、親しい身内同然の人達のお葬式が2件、そして友人の兄弟のお葬式が1件と合計8件のお葬式に出ている。
私が40代後半なのだから、どうやったってお葬式の方が多くなるのは仕方のないことなのだろう。
喪服がいらないアメリカの葬式
アメリカでViewing(ビューイング)と言われる通夜のような集まりや、葬祭場での告別式、教会での告別式、墓場での告別式それぞれ全てに参列したが、私は黒とか濃紺色のセーターにパンツとか、ワンピースをして参加した。靴も暗い色であればいいという程度だった。
喪主や、直近の家族でも日本のような喪服を着る人はなく、男性であれば暗めの色のスーツを着る程度でいいし、黒系の洋服を着る程度である。
ジーンズや明るい柄の洋服は避けるのが良いと思うが、亡くなった人の身内の人でもピンクセーターを着て参列した人もいたし、モスグリーンのワンピースにこげ茶のスウェードロングブーツで参列している人もいた。
だからお葬式に急遽行くっていう場合は、暗い洋服を着る位の配慮があればいい気がする。
アメリカのお葬式は香典不要
アメリカでお葬式に行く場合は、香典みたいなものは要らない。妥当な暗い色の服装で葬儀に出向くだけである。
親しい人だった場合、お花を会場に送ることは可能だ。アレンジメントを手配したいと言えば、葬儀の連絡をくれた人にお花の送り先を聞いて送ることはできる。
アメリカで良くあるのは、故人の家族に温かい食事を作って持っていくことだ。
家族を失い、悲しみで何もする気にならないという人も多い。そういう友人の為に、お葬式の前後には温かい料理を作って届けてあげる優しさ、気遣いは一般的に喜ばれる。
色々な形式のお葬式
私が参列したお葬式は全てキリスト教に属する形式のお葬式だったが、おなじキリスト教と言えどもそれぞれ様々なスタイルのお葬式だった。日本の様に「仏教だからこういう感じ」というスタイルはないようだ。
それに現代はアメリカで日曜日に教会に通うクリスチャンでもクリメイション(cremation)と言われる火葬を選ぶ人が多いが、それとは別で、どんな葬儀スタイルかはまた別の話だと思う。
キリスト教会でのお葬式
キリスト教の教会でお葬式をする場合は開始時間がしっかりと告知されるはずだ。遅刻しないように20分前位には到着して参列しよう。
恐らく式自体の所要時間は30分~40分程度だろう。通常は、式の主要な部分としてキリスト教の牧師(神父)さんの話が入り、讃美歌も歌い、祈りの時間がある。
そして葬儀の後には教会の敷地にある集会場所で他の参列者と共に死者を弔う立食懇談会があり、アルコールが提供される場合もある。お葬式に参列したら、この懇談会にも参加して家族を亡くした人達に励ましの言葉を掛けたりする。
必ずしもお葬式だからといってしんみりしないといけないわけではない。ここで古い友人に会うこともあるし、気軽にみないる人同士で会話をして、適当な時にそれぞれ帰宅するという流れとなる。
斎場などでのお葬式
日本の斎場のような場所でお葬式をする場合もある。この場合、様々なお葬式スタイルが予想される。
牧師(神父)さんを呼んで祈りやお話をしてもらうこともあるだろうが、そうでない場合もある。身内の誰かが代表してお話をし、祈るような場合もある。
日本のお通夜のような感じで、ビューイング(Viewing)と呼ばれる形式で、会場で自由に棺桶に入った死者に対面し、家族や友人と共に20~30分程度の死者を弔う懇談の時を過ごし、帰宅する場合もある。
死者が不在の場合は、ビジテーション(Visitation)と呼ばれる形式でお葬式を行う場合もある。この場合も家族友人たちと20~30分程度の死者を弔う懇談の時を過ごして帰宅する。
ビューイングやビジテーションに参加する場合は、この時間からこの時間に来て下さいと言われるだろうから、その時間の間に訪問すればよい。
出入り口には氏名と住所を書くノートが置かれているのでそこに記帳をする。
葬儀に訪問し、プログラムを渡されない場合は、誰かが代表して話すかどうか、話すなら何時からはじまるかを確認して、その集いに参加してから帰宅する。
飲食が準備されている場合もあるが、あれば案内されるだろう。
イベントホールでのお葬式
ゴルフクラブや、地域の集会所などイベントスペースでお葬式をすることもある。
お葬式とはいえ、披露宴のような形式でお葬式をする場合がある。アルコールを含む飲み物が提供されることもあるし、豪華な食事が振る舞われることもあるし、軽食な場合もある。
そして、それぞれ適当なテーブルに着席するスタイルでお葬式を進める。牧師(神父)さんが話すこともあるし、代表者が何人か故人を弔うスピーチするようなスタイルで進める場合もある。
そして後は、その場にいる家族友人で自由に飲食をしながら懇談会のような感じで進む。そして開始から2時間位立つ頃には徐々にそれぞれが家族に挨拶をして帰宅するのである。
お墓でのお葬式
お墓でのお葬式というのもある。
私が参加したお墓でのお葬式は、キリスト教会でのお葬式を行った後に、骨壺を埋葬する為のお葬式で、お墓の横で牧師(神父)さんの話を聞き、骨壺をお墓に収める為の葬儀であった。
このお墓での葬儀は、事前に時間を決め、葬儀は大体30分弱だったと思う。
他のお葬式と同じような服装で、牧師(牧師)さんの話を聞き、讃美歌を歌い短い時間で完了し、それぞれ帰宅した。
現代のお葬式の場合だと、お墓でのお葬式は本当に近い身内だけが参列し、それ以外はビューイングやビジテーション、セレモニーという形の弔いスタイルが多いのかなという印象だ。
火葬を選ぶ人が相当増えた
昔と違って、アメリカでも火葬を選ぶ人が相当増えたことにより、お葬式のスタイルも増えているように思う。
しばらくの間、故人の火葬後の骨壺を家に何年と保持する場合を聞いたりもする。その場合、その間にお墓はもたないことになる。海などに散骨を希望する人も居るし、その場合はその後も墓はないことになる。
仲の良い夫妻の片方が亡くなった場合などは、骨壺を家に置いておく傾向が私の周りでは高かった。
残された側も墓に入る時になったら一緒に埋葬してほしいということだったのと、先に亡くなった伴侶の骨壺と共に暮らしたいと思う思いがあったのだろうかと思う。
肉体の死後キリスト教徒は天国へ
私が参加した故人達のお葬式は毎週教会に通わない人も含め、強いて言えばクリスチャンだった人達だ。だからお葬式が必ずしも悲しいものではないのかもしれない。
クリスチャンとは自分の肉体で生きている時に、自分の力では天国に行くことは出来ないことを認め、神様が与えてくれたイエス・キリストという神様と一体の救い主を信じ、自分のしてきたことを悔い改め神様により頼んで生きることを選んだ人達だ。
イエス・キリストがクリスチャンに代わって十字架で罰を受けてくれたことによって、クリスチャンは死後若しくは、イエス・キリストが再臨するときに、神様のいる天国に行けると信じているのだ。
キリスト教式のお葬式に参列してあまりしんみりしてない事が多いのは、このように故人は天国で神様と一緒に素晴らしい悪の無い場所に居ると信じているからではないだろうか。
とはいえ、やはり親しい者を失う悲しみがあるのは間違いない。
愛する人を失い心底打ちひしがれている人を優しく慰める気遣いは万国共通で必要だ。