アメリカに住み始めて「誰と知り合いであるか」が大人社会で大切なことなのだと実感している。日本でもそうなのかもしれないが、アメリカではそれが分かり易い形で存在しているように感じるのだ。
「誰と知り合いか」がドアを開く
アメリカ人の夫は昔から、「誰と知り合いだということはビジネスをするうえで大切である」と、ずっと言ってきているが、アメリカでの生活が本格化してからそれを生活の中でもビシビシ感じるようになった。
誰かと知り合った時、会話を進める中でお互いに自分のバックグラウンドについて話すが、それはお互いの値踏み要素として使われているような感覚がある。
日本でも、「どこの企業で働いているか」とか、「職業は何か」という内容で自分を表現される様子は沢山みてきたが、アメリカではその判断は職業だけに留まらず、もっと総合的にみられている感じがするのである。
職業も考慮されるひとつであるが、住んでいる場所、家、車、卒業校に加え、誰と知り合いかということまで値踏みに加わり、社会的なクラス分けが行われているように思うのだ。
エリート私立学校卒の特権
私自身の学歴はろくでもないし、親も全く教育熱心でなかったからエリート私立学校に通う意図というものを実際の所、殆ど理解せずに生きてきた。
日本で意図するものと同じかどうかは分からないが、私はアメリカのソレを夫から学んだのである。
アメリカの高校は4年あり、義務教育のため公立校に通うのであれば近隣の学校に通う。夫の場合は、エリート私立高校に入学し、学業に専念して学業功績を詰み、社会的に信用のある職業に就いたのだ。
夫の卒業した高校はその州でも学業優秀な学校として名の通った学校であり、クラスメートにはどの国でも知られている企業の創立者の子もいたらしい。教育熱心な親であれば、苦労してでもこの学校に子供を送りたかったのだろうと推測できる。
その学校に通うということは、良い教育を受けるだけでなく、将来のコネクションを見据え、無理してでもその学校に通わせるのが親心なのだと、私は夫から学んだのである。
卒業生というカード
夫がその学校を卒業してから既に何十年と時間が経っているが、新しく出会う人達に、夫の卒業校のことや職業の話しに加え、長く日本に住んでいたことを話すと富裕層クラスの人が私達に対し興味を持つ様子を感じる。
カジュアルな出会いでも受け入れられれば、その知り合った人とお互いの連絡先を交換し、その後ビジネスをする関係に進んだり、共に食事をしたりという関係に進むのである。
こうしてアメリカでは、レストランやバー、カフェやイベントで隣合わせになった人とでも、唐突にネットワーキングの輪が広がるのだ。
ビジネスに有効なコネクション
先日、私は労働許可証を得ることができたので、そろそろアメリカでも仕事をしたいと考えている。
日本であれば、知り合いのリクルーターに声を掛けて妥当な就職先を探すのだが、アメリカでは少々勝手が違うようだ。
夫からも言われるのだが、誰と話しても皆「知り合いのツテを使うと良いよ」と助言をしてくるのである。そして、自分の知り合いに当たってみるから、履歴書を送ってくれという人が多いのだ。
どうもアメリカでは誰かを雇うという時に、知り合いのツテを頼って人を探すことも多いし、逆に仕事を探す場合にもツテを頼って仕事を探しをすることが多いらしい。
私が日本で働いていた会社は米国企業だったから、とりあえず私はその時の上司や、同僚に当たってみることから始めてみようかと思っている。
実際にアメリカで働き口を探し始めたことを話すと、多くの人が「自分の会社の人や知り合いに聞いてみるよ」と言うのである。初めは社交辞令なのかと思っていたが、どうも本当に周りに聞いてくれたりするのだから正直驚く。
LinkedInリンクトイン
知り合いのツテだけでは心元ないので、併せて使っていこうと思っているのが社会人ツールであるソーシャルネットワークサービスのリンクトインである。
社会人ソーシャルネットワークサービス
LinkedIn(リンクトイン) https://www.linkedin.com
リンクトインは約10年前にアカウントを作ったものの、殆ど活用したことは無かった。今まで一緒に働いた同僚との繋がり用としてくらいしか使っていなかった。
しかし、このツールを使って仕事に応募をしてみるのもありだろうかと考え、以前から書き込んでいた経歴などの説明を見直し、自分のキャリアについての情報を一通り整えてみた。
幸運にも以前の同僚とはリンクトインで既に幾つも繋がりがあり、以前の同僚が私の働きに対して好感度の高いコメントを残してくれているのがありがたい。過去に働いた会社の元同僚が私のコネクションに沢山いることが評価されて職が見つかればいいが、上手くいくかは未知数である。
リファレンスチェック
転職活動をしていると、「リファレンスチェック」なるものに出会うことがある。これは新しい仕事の面接過程のひとつの様なもので、自分が過去に一緒に働いた上司や同僚なんかに面接先の会社の人が私に対して行う職歴調査である。
海外ではよくあるようだが、日本でもこの「リファレンスチェック」は、外資系企業の場合ちょこちょこ実施されるケースがあるようだ。
会社の役員級の人の採用の場合は、プロの身辺調査会社を雇って学歴からチェックするのだろうが、専門職の転職者程度の場合であれば、一緒に働いた上司や同僚の連絡先を面接先の会社へ渡し、私の申告している経歴調査をしてもらうのである。
幸運にも私が日本で働いていた時の上司はアメリカ人だった。私の様に海外で仕事を探すケースを考えれば日本でキャリアを積む間に、英語に全く困らない上司や同僚と働くことは将来のキャリア可能性に対し、有効な準備になる気がする。
直近で私の上司だった人には、私がアメリカで仕事探しを始めると伝え、リファレンスチェックが必要になったら対応してほしいと伝えると、二つ返事でOKがでた。元上司は、必要になったらいつでも対応すると言ってくれているから、この点は準備万端である。
要ソーシャルスキル
アメリカでの職探しは、知り合いのツテが一番だということは本当だと思うのだが、なければ作ればいいというのが解決策になるだろう。
そのツテを作っていくには、コミュニケーション力も必要だが、ソーシャルスキルを上げ、ネットワーキング力も必要であることは間違いない。
仕事を探しを始めたら、沢山の人に仕事探しをしていることを伝え、ビジネスネットワーキングの集まりにも参加したりして、自分から活動的に職探しをしないといけないのだなと改めて実感した。
今すぐに仕事を見つけなくても生きてはいけるが、既に無職機関が1年を超えてしまったので、そろそろ私も真剣に仕事探しをしてみようと思う。
出来るだけ多くの人と出会い、コミュニケーションを取ってアメリカでキャリアの道を切り開きたい。