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自転車でアイオワ州横断するラグブライRAGBRAI

アメリカ暮らし

毎年夏が来ると思い出すのが、アメリカアイオワ州で行われる世界最大級のサイクリングイベントRAGBRAIである。結婚を機に、2人共通の趣味があるといいという夫の提案で、私もロードバイク乗りになったが、夫の真の目的はこのイベントに夫妻で参加することだったのだ。

アイオワ州横断サイクリングRAGBRAI

RAGBRAI(ラグブライ)とは、Register’s Annual Great Bicycle Ride Across Iowaの略で、日本語にすると、参加登録型の恒例素晴らしいサイクリングアイオワ州横断とでもいえばいいだろうか。分かり易く言えば、1週間をかけアイオワ州を自転車で横断する年行事である。

RAGBRAI ラグブライウェブサイト

ラグブライは1973年に開始し、既に50年を超えるイベントだ。コースは毎年変更するものの、アイオワ州の西にあるミズーリ川がある町からスタートし、ミシシッピ川がある町を目指して、約500マイル(800キロ)を1週間掛けてサイクリングするという大きな仕組みは変わらない。

全行程の1週間を通し参加する人が殆どだが、1日だけ参加する人も沢山いる。毎日2万人以上の人が参加料を支払い、自転車乗りとして参加する1週間に渡る世界最大級のサイクリングイベントなのである。

毎日がお祭りサイクリング

素人自転車乗りが800kmもの距離を走行するなんてちょっと無謀じゃないかと思うかもしれないが、意外に無理なく完走できる。毎日走る距離は100~120km程で、25~30km間隔でオフィシャル休憩ポイントとなる町があり、無数に小型の休憩ポイントも存在する。

レースをしているわけではないからガムシャラに自転車を漕ぐ必要はない。休憩ポイントとなる町の間をある程度真剣に自転車を漕ぐ必要はあるが、朝に出発してから夕方までにその日のゴール地点にたどり着けばいいのだ。

サイクリングコースとなる道路は、イベントの為に交通規制がされ自転車専用になっている部分が多く、道路沿いには沢山の人が個人商店を開き、切ったスイカや、スポーツドリンクや水を売る人達もいる。通過地点にレストランを構える人達は簡易休憩所を提供しつつ商売を繰り広げている。

真夏の暑い中でのイベントだから、芝生用のウォータースライダーを設置している場所もあれば、通りすがりの自転車乗りにホースで水掛けして応援してくれる人が居たりと、とにかくあちこちでお祭り騒ぎなのである。

テントで寝泊り

多くのラグブライ参加者はチームで参加する。チームでそれぞれ大型バンの車と運転手が居て、自転車乗りの荷物とテントを毎日次の町へと運んでくれる。毎日のサイクリングには、自転車設置型ドリンクボトルと、スマホ、クレジットカードに加え、少しの現金さえ持っていればいいのだ。

自転車でその日のゴール地点に付いたら自分の荷物を受取り、テントを設置し、寝床を準備する。夕飯は街に準備された屋外フードコード場へと食事に出かけるのだ。このイベント中、食事は常に外食になる。高額ではないけれど、毎日の食事代は別途予算を取っておいた方がいいだろう。

チームで参加しないラグブライ参加者は、イベント会社のプランに参加し、テントと荷物を業者に運んでもらうことも可能だ。中には自転車に軽量キャンプセットを積んでサイクリングをする強者もいる。

ホテルに泊まる人も居るのだろうが、殆どはテントでの野宿である。チームそれぞれに、どこで野宿をするのかは指示がある。しかし、知り合いがその街にいる場合は、知り合いの家の庭や、家の中のスペースを提供してもらって寝袋を敷き宿泊させてもらうこともあった。

トイレとシャワー

オフィシャルの休憩場所や野宿エリアには相当数の仮設トイレが準備してある。だからトイレに困ることは殆どないのだが、シャワーはちょっと難しい。真夏に100kmもの距離をサイクリングすれば汗だくになるからシャワーで汚れを落としたいとは思うのだが、簡単にはいかないのだ。

荷台に共同シャワーが設置されたシャワートレイラーというトラックサービスで、数ドル払ってシャワーを浴びる仕組みがあるのだが、疲れている中で何十分も並びシャワーを浴びるのが面倒臭いと思うようになる。

そうなると、清潔さにこだわらなくなって地元の人の家の前でホースを借り、自転車ジャージを着たまま、石鹸で服ごと洗うようになった。ある日は野宿先の横にある川の中に自転車ジャージのまま入り、やっぱり石鹸で服ごと洗ってさっぱりするのだ。

洗濯機と無縁の1週間

真夏の長時間のサイクリングで活躍するのが自転車ジャージだが、私はサイクリングジャージパンツは1つしか持っていない。ジャージトップスも2個だけだ。このジャージ背中にポケットがあり、スマホやお金、日焼止めやちょっとしたおやつをこのジャージポケットに入れられる仕様になっている。

替えがないと1週間同じジャージで自転車に乗り続けるが洗濯機はない。汗臭いジャージを翌日着るのは嫌だからと、多くの人は夕方自転車ジャージを脱ぐぎ石鹸を使いジャージを洗い、ジャージを自転車やテントにつるして乾かすことになる。

昼間は強い日差しで暑くなり、手洗いしたジャージだって1時間後には乾く天候でも、アイオワでは夜になれば涼しくなり、朝方には露が下りるのだ。だから、朝になっても洗ったジャージが乾かないことは珍しいことではなく、湿った状態のを着るのである。

それでも汗臭いのを身にまとうよりはマシだし、着用して10分もすればジャージの湿り気は気にならなくなるので、みんなそんな風に1~2着しかない自転車ジャージを着まわして1週間過ごすのだ。

ロードバイク1択

ラブグライに参加するなら、私は選ぶ自転車はロードバイク1択だと思う。私はラブグライに参加する数か月前までロードバイクに乗ったことは一度もなかったが、ロードバイクは断然軽く、スピードも簡単に出るからだ。

アメリカでアイオワを自転車で走ると言うと、誰もがアイオワは平地だし自転車に向いているというのだが、実際にアイオワを自転車で走ってみると、アイオワにだって坂道が沢山ある。その坂道を乗り越えるには優秀なギアが付いた車体の軽いロードバイクが最適なのだ。

私は初め、借り物のマウンテンバイクで参加すれば良いと言っていたのだが、多くの人に止められた。マウンテンバイクであちこち数百キロを走っている人ならまだしも、長距離サイクリング慣れしてない初心者がラグブライに参加する場合、ロードバイクじゃなければ痛い目を合うと忠告された。

参加してみて分かったが、本当にその通りだった。実際マウンテンバイクで参加していたら、私は完走できていたかどうかも怪しいところだ。

ロードバイクに慣れる

ロードバイク初心者がロードバイクに対する抵抗感は、乗った時の前傾姿勢と、サドル(椅子)の高さにあるだろう。サドルにお尻を乗せた状態だと、足が地面につかなくなる。前傾姿勢云々よりも、地に足がつかない状態が恐怖感を煽るのかもしれない。

しかし、ロードバイクの乗り方と折り方をマスターし、ギアの使い方さえマスターしてしまえば、ロードバイクは、シティーサイクルに比べてとても走行しやすい自転車なのだ。坂道だってギアを変更すれば結構簡単に登れてしまうスーパー自転車なのだ。

ラグブライに参加するなら最低限の練習はしておいたほうが良いだろう。私が初めてラグブライに参加した時は、日本で数回は40~50kmサイクリングに行った。しかし、この程度の経験でラグブライを完走することが出来たのだから、ラグブライはフルマラソンよりは難易度が低いだろう。

最低限の持ち物

ラブグライに参加する為にはすくなくとも、これくらいの物は必要だろう。

  • ロードバイクとヘルメット、
  • 自転車用品入れサドルバッグと自転車レンチ、スペアチューブ等
  • 自転車用ジャージ上下(あれば替え)と自転車手袋
  • 寝袋と寝袋の下に敷くクッションパッド、シーツもあると便利
  • チェーン潤滑油とクリーニングクロス
  • 日焼け止めと、自転車に装着型ドリンクボトル
  • 洗面用具と石鹸、小分けの洗濯洗剤も便利
  • モバイルバッテリー(携帯電話の充電が心配な場合)
  • ラフな服と水着とビーサン
  • 現金も忘れずに!

声の掛け合い

相当数の人が自転車に乗るから沢山の声掛けがある。マラソンのように緩やかなスピードであれば、特に声掛けは必要ないのかもしれないが、ロードバイクだと結構なスピードが出るからか、基本真横を追い抜いたりするときには周りに声掛けするのがマナーである。

よくある声掛けフレーズ

  • Slowing(スローウィング/減速します) 自分が減速する時
  • Stopping(ストッピング/止まります) 自分が止まる時
  • On your left(オンユアレフト/左側を通過します) 自分が追越す時
  • On your right(オンユアライト/右側を通過します) 自分が追越す時
  • Car back(カーバック/後ろに車がきてます) 周りにお知らせ

サイクリング中には沢山の人に追い越され、追い越すのだが、見知らぬ人と励まし合いながら会話を楽しみ走行することもある。そういう楽しみを味わうためにも英語が少し話せた方がより、楽しめるイベントなのだ。

古き良き助け合いのアメリカ文化に触れることもある。これだけの長距離をサイクリングしていると、タイヤがパンクしたりもする。自分でパンク修理が出来なくとも路肩で立っていると、だいたいは慣れた自転車乗りがパンク修理に手を貸してくれることだろう。

アメリカの本場

アメリカと言えば、日本では多くの人がニューヨークや、LAを頭に描くと思うが、アメリカの殆どの土地は大都市ではない。日本と同じだが、むしろほとんどの土地が田舎町なのだ。ラグブライに参加すれば、本場のアメリカを1週間かけて体験することになる。

1週間かけて自転車でひとつの州を横断することだけでも凄い体験だが、1週間に渡るお祭りイベントに参加することも貴重な体験だし、アメリカの田舎町を沢山みることも良い経験になるだろう。

日本からの参加となれば、長旅になるうえに、自転車の輸送や参加するためのロジスティックスにも苦労する。それでも、ロードバイクが趣味だという人なら、お金を貯め、英会話を練習してラブグライに参加すれば相当楽しい旅を経験できるような気がする。

今はラブグライの体験をYouTubeにアップロードしている人が結構いる。もしもラブグライに本気で散開したいと考えたら、それらの動画からも有意義な情報収集は可能だろう。RABGRAIと入力して検索してみれば色々面白いエピソードが見れるはずだ。

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