日本の政府機関サービスが素晴らしいことを知っているだろうか?
日本に住んでいる、どれほど日本の行政機関のサービスが良いかということに気付かないかもしれないが、それは本当に素晴らしいのだ。これは一定期間、海外で暮らしたことがある人なら全員声を揃えて言えることだろう。
日本の役所での用事は、当日に思い立って出向いても大体のケースは当然のようにその日の内に用事を済ませることが出来ることを殆どの人が経験済みだと思うが、海外の役所だとそれは全く当たり前ではないのである。
先日、私の両親は住宅ローンを完済した。そして金融機関から両親宅へ不動産抵当権の登記の抹消手続き書類が送られてきたのだが、両親はとりあえずどうしたものかとその封筒を暫く温めていた。
今の私は時間があるということで、両親に代わって私がそれをどうにかしてみることにした。
早速、銀行からの書類一式を確認してみると、中にはご丁寧に近隣の司法書士事務所の連絡先一覧まで同封されている。きっと多くの人はその一覧に掲載されている司法書士事務所に処理をお願いするのだろう。
私の両親も自分たちでどうにかしようと思ったら、きっとその一覧を見て家から一番近そうな司法書士事務所に連絡していたに違いない。そして言われた通りの金額を支払って片付けていただろう。
殆どの人にしてみたら分からないことに時間を取られて右往左往するくらいなら専門の人に数万円払って正しく片付けるのが普通のやり方だと思うのだろう。
しかし根っからの貧乏性の私はそうではない。まずその手続きがどんなものなのかインターネットでリサーチをし、自分でも対応できるものかどうかを調べて、自分で出来そうなものはとりあえず自分でやってみるっていうのが私のやり方だ。
今までやってきたのと同じように、今回もまずはネットで不動産の抵当権の登記の抹消手続き方法について調べ進めると、司法書士を雇わなくても対応できそうだということが直ぐに判明した。
こういう情報を調べる時には、要点を纏めてくれている専門家の人などの意見や説明を頼るだけではなく、必ずその手続きを実際に行う機関のウェブサイトでも調べる必要がある。
法務省のウェブサイトを確認すると細かな手続き案内が記載されていたし、各法務局で予約制の手続き案内をしているという情報が書いてあったのだ。早速、将来自分の役にも立つだろうと考え、私が両親宅の抵当権の登記の解除手続きを予定通り進めることにした。
早速両親の不動産管轄になっている法務局に電話して担当者へ繋いでもらい、事前に法務省のウェブサイトで調べた予約制の手続き案内を使って抵当権の登記の解除手続きを両親に代わって行いたいのだと伝えた。
すると、電話口の担当者は書類の書き方について補助を得るのは両親の不動産がある管轄の法務局じゃなくてもよく、私の住む近隣の法務局で教えて貰い、書類は郵送送付すればいいのだと教えてくれた。
正直言って地方の法務局へ出向くのは実際少々面倒なのでこの情報は助かった。地方だと車が無いとその管轄の法務局にはなかなか気軽にいけないからだ。
東京都心であれば公共交通機関を使い簡単に法務局に行くことが出来るし、時間潰しが必要な時も、コピーを取る為ににコンビニに立ち寄るのも簡単なで、電話で教えて貰った通り、私は都心の法務局に行くことにした。
私は両親に代行して抵当権の登記の解除手続きを法務局で相談し、書類作成をする為、銀行からの書類一式と、事前に父からの委任状を用意し、東京都内の法務局に出向く準備を整えた。
早速、朝いちで都心にある法務局の窓口で不動産の抵当権解除の書類記載の相談をしたいと相談すると、なんと15分後の枠が空いているというので早速予約を取ってもらった。
いつも空いている法務局なのか、ただ空いている時間帯なのか分からないが、予想していたよりも早く簡単にアポイントが取れてしまった。担当者が手に持っていた手書きの予約表が、ちらりと見えたのだが午前中の枠は殆ど空欄だったから朝は基本空いているのだろう。
しかし、いつどこの法務局に行くか分かっているなら事前に電話予約しておくのが一番だろう。
かなり閑散としている案内された待合席で予約時間を待っていると、ガラガラだからか予約時間にならない内に窓口の担当者が声を掛けてくれた。
愛想のあるタイプの担当者ではなかったが、その担当者は私の話を聞き、私の質問に答えつつも、テキパキとどんどん書類の書き方を指導してアッと間に書類を発送すればいいだけの状態に揃えてしまったのだ。
そもそも抵当権の登記の解除手続きとは簡単なものなのだろうが、無知な私を導き20分余りの時間で用が済んでしまった。予約もしていない状態で朝法務局に到着してから1時間もかからずに目的が果たせてしまった。
担当者は細かく何がどうとか説明してくれるわけではなかったが、必要なことは伝え、何をどこに書けばいいのか教えてくれる。そして私が書類に必要事項を書いている間に、担当者は必要書類のコピーを準備し一式そろえ、郵送先の法務局の住所が書かれた用紙までコピーしてくれていた。
最後担当者は赤ペンを片手に持ち、ひとつひとつ記載事項を同封書類と照らし合わせ最終確認までしてくれた。そして返信用のレターパックプラスを同封し、書類一式レターパックプラスに入れて投函すればいいと教えてくれたのである。
この不動産抵当権の登記の抹消手続きにかかった費用は費用は不動産の件数x1000円の印紙とレターパックプラス2個だけである。そして私は抵当権の登記の解除手続き対応の知識を得た。
自分でやってみるという選択をしたおかげで司法書士に数万円を払わず済んだし、更にこの知識を得ることが出来たのだから結果オーライ以上である。
それに、上手く出来なかった時には司法書士を雇えばいいだけである。そうなったとしても失うものは自分の時間ということになるが、そうだったとしてもその経験からの学習はあったはずだ。
忘れてはいけないのは、今回のケースは法務局での手続き相談というものがあったから行政書士を雇わないという方法が成り立ったのである。言い換えれば、日本の行政のサービスが素晴らしいかったからだと言える。
私の周りには多くの長期日本在住者の外国人の友人がいるのだが、彼らからいかに日本の行政のサービスが親切かという話を聞く。言葉の壁があっても行政機関の人は一生懸命対応してくれようと努力してくれるのだそうだ。
こんな手厚い行政サービスのある国は世界中探してもなかなかないだろう。
改めて日本の自慢ポイントを発見できたわけだが、これだけ手厚いサービスがあるのだから皆も色々自分で出来ることはチャレンジしてみたらいいと思うのである。